セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-症例2

タイトル 内P-538:

Fanconi貧血の骨髄移植後に合併した食道癌に対し化学療法が奏功した一例

演者 仁品 玲子(東海大・消化器内科)
共同演者 鈴木 孝良(東海大・消化器内科), 津田 真吾(東海大・消化器内科), 中原 史雄(東海大・消化器内科), 中島 貴之(東海大・消化器内科), 藤澤 美亜(東海大・消化器内科), 内田 哲史(東海大・消化器内科), 湯原 宏樹(東海大・消化器内科), 五十嵐 宗喜(東海大・消化器内科), 小池 潤(東海大・消化器内科), 峯 徹哉(東海大・消化器内科)
抄録 症例は22歳女性.既往歴として出生時に食道閉鎖症に対し手術を施行,5歳時にFanconi貧血と診断され12歳時に非血縁者間骨髄移植を施行し慢性GVHDなく経過.その後当院小児科にて経過観察されていたが,2012年8月頚部超音波検査にて両側頚部,鎖骨上窩リンパ節腫脹を指摘.上部消化管内視鏡にて切歯14cmに約半周性のルゴール不染を伴う0-III病変を認めた.病理診断はSquamous cell carcinomaであった.上部消化管造影では頚部食道に長径22mm大の0-IIc+Is病変を認め,深達度はsmと考えられた.CT,PET-CT上,左右鎖骨上リンパ節・頚部右側反回神経リンパ節に転移を認めたが遠隔転移は認めず,頚部食道癌T1bN2M0 stageIIの診断となった.化学放射線療法としてHosoyaらのレジメンを参考に低用量5-FU/Cisplatin療法(5-FU330mg/m2 Cisplatin3.3mg/m2),放射線照射は計57Gy照射を行った.副作用として,grade2の骨髄抑制を認めたがG-CSF使用せずに改善,また,grade2の皮膚炎を認めたが外用薬にて対応し改善した.化学放射線療法を2クール終了時のCTでは頚部・鎖骨上窩リンパ節の縮小,上部消化管内視鏡では腫瘍の著明な縮小を認めPRと判断した.現在も化学療法を継続中である.Fanconi貧血の患者では,若年時に頭頚部・食道・肝臓・婦人科領域の扁平上皮癌の合併が見られる.Fanconi貧血の患者は抗癌剤に対し副作用が出現しやすく,使用においては用量調節が必要とされる.本邦でFanconi貧血に発生した食道癌に対し化学療法を施行した報告は過去一例のみであり,希少な症例であるため報告した.
索引用語 Fanconi貧血, 食道癌