セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-症例2

タイトル 内P-539:

ENBDチューブによるドレナージが有効であった食道壁内膿瘍の1例

演者 細野 功(中部労災病院・消化器内科)
共同演者 尾関 雅靖(中部労災病院・消化器内科), 中岡 和徳(中部労災病院・消化器内科), 森本 剛彦(中部労災病院・消化器内科), 宿輪 和孝(中部労災病院・消化器内科), 児玉 佳子(中部労災病院・消化器内科), 村瀬 賢一(中部労災病院・消化器内科)
抄録 【症例】48歳・男性【現病歴】平成24年5月中旬より嚥下時に咽頭痛を自覚,様子を見ていたが改善ないため2日後に当院耳鼻咽喉科を受診した.喉頭ファイバーで特に異常所見を認めなかったため,急性咽頭炎として抗生剤点滴施行され一旦帰宅となった.同日夜から嚥下時の胸痛を自覚するようになり,痛みが持続するため翌朝当院救急外来を受診した.来院時発熱及び血液検査で著明な炎症反応上昇を認め,頸部~胸部造影CTで食道壁内膿瘍を認めたため当科へ紹介,入院となった.【経過】入院当日に上部消化管内視鏡検査施行し,食道入口部を過ぎてすぐの頸部食道に発赤・びらんがあり,そこからE-G junction直上まで膿瘍による膨隆のため食道内腔の狭小化を認めた.絶食・抗生剤点滴等で加療を開始し,5月下旬にCTを再検したところ,膿瘍は縦隔及び胃粘膜下まで及んでいたが食道内腔との交通が疑われたため同日X線透視下で再度上部消化管内視鏡を施行した.前回びらんを認めた部位より少量排膿が見られたためERCP用造影カニューレを挿入して造影を行った後,ガイドワイヤーに沿わせて6FrENBDチューブを膿瘍腔内に留置し,ドレナージを開始した.膿汁の流出量は徐々に減少し,解熱・炎症反応の低下がみられた.6月上旬造影CT及びENBDチューブ造影を行い,食道壁内膿瘍の縮小を認めたためENBDチューブを抜去した.その後は食事を再開し,縦隔膿瘍に対し抗生剤投与を継続して縮小傾向を認めたため,6月下旬退院となった.【考察】食道壁内膿瘍は魚骨による食道損傷が原因となることが多く,全身麻酔下で耳鼻科的にドレナージがなされた症例が散見される.今回我々は発症前数日以内に魚摂取歴がない原因不明の食道壁内膿瘍に対し,ENBDチューブによる内視鏡的ドレナージが有効であった1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 食道壁内膿瘍, ENBDチューブ