セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-症例3

タイトル 内P-544:

食道癌治療後に形成された食道気管支瘻に対して,内視鏡的にNBCA(ヒストアクリル)-Lipiodol混和液の注入し瘻孔閉鎖術を行った1例

演者 橋本 章(済生会松阪総合病院・内科)
共同演者 青木 雅俊(済生会松阪総合病院・内科), 福家 洋之(済生会松阪総合病院・内科), 河俣 浩之(済生会松阪総合病院・内科), 脇田 喜弘(済生会松阪総合病院・内科), 清水 敦哉(済生会松阪総合病院・内科), 中島 啓吾(済生会松阪総合病院・内科)
抄録 症例:70歳代,男性.主訴:咳嗽.既往歴:前立腺癌にてホルモン療法中.現病歴:平成21年9月食思不振を主訴に当院を紹介受診,上部消化管内視鏡検査にて胸部中部食道に40x24mmの隆起性病変を指摘.腫瘍の大部分は正常粘膜で覆われており生検では診断は不可能であった.EUS-FNAにて低分化型扁平上皮癌と診断,平成21年12月よりDay1にCDDP70mg/m2/day,Day1~4に5FU700mg/m2/day,60Gy/30FrのCRTを2コース施行後CDDP80mg/m2/day,5FU800mg/m2/dayのFP療法を2コース施行した.平成22年5月中旬の内視鏡検査では門歯列より32-37cmにかけて深掘れの瘢痕形成を認めた.平成23年3月上旬のPET-CTにて上縦隔,傍腹部大動脈にリンパ節再発を来したためFP療法を再度施行した.平成24年9月に入り食後咳嗽が出現したため内視鏡検査を施行,以前より見られた瘢痕部の口側に直径1mm程度の瘻孔を2か所認めた.瘻孔部分を含めて食道には明らかな癌の再発は見られなかった.ガストログラフィンによる食道透視では,造影剤内服直後より激しい咳嗽が出現した.胸部CTでは左B6cに造影剤の流出を認めた.内視鏡にて食道にインジゴカルミンを散布した後の気管支鏡では気管支側の瘻孔は不明であった.瘢痕が非常に深く,食道ステントでは瘻孔閉鎖は困難と考え,瘻孔閉鎖目的にて平成24年10月中旬NBCA(ヒストアクリル)0.5ml+リピオドール0.5mlの混和液を内視鏡的に食道内に散布した.散布直後の胸部CTでは瘻孔内に混和液が充満し,一部は気管支内に漏出していることを確認した.食後の咳嗽は治療直後より消失した.閉鎖術施行2か月後の内視鏡検査では瘻孔の内視鏡側は閉鎖されていないものの咳嗽の出現はなく,瘻孔内で閉鎖していると考えられた.術後5か月目の平成24年3月現在瘻孔の再発はなく,化学療法継続中である.本例では瘻孔内にヒストアクリルが充満,遺残したことが瘻孔閉鎖につながったと考えられた.
索引用語 食道気管支瘻, ヒストアクリル