セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-症例3

タイトル 内P-545:

心房細動に対するCatheter Ablation後にみられた心房食道瘻の2例

演者 高橋 正憲(さいたま赤十字病院・消化器内科)
共同演者 笹島 圭太(さいたま赤十字病院・消化器内科), 鎮西 亮(さいたま赤十字病院・消化器内科), 土井 浩達(さいたま赤十字病院・消化器内科), 大津 威一郎(さいたま赤十字病院・消化器内科), 門 輝(さいたま赤十字病院・消化器内科), 岡野 尚弘(さいたま赤十字病院・消化器内科), 熊谷 純一郎(さいたま赤十字病院・消化器内科), 塩屋 雄史(さいたま赤十字病院・消化器内科), 大島 忠(さいたま赤十字病院・消化器内科), 稲葉 理(さいたま赤十字病院・循環器科), 佐藤 明(さいたま赤十字病院・循環器科), 新田 順一(さいたま赤十字病院・循環器科), 浅川 喜裕(さいたま赤十字病院・循環器科), 家田 敬輔(さいたま赤十字病院・外科), 沖 彰(さいたま赤十字病院・外科), 森田 英幹(さいたま赤十字病院・心臓血管外科), 甲嶋 洋平(さいたま赤十字病院・消化器内科)
抄録 【目的】心房食道瘻(AEF)は,心房細動に対するCatheter Ablation(CA)後にみられる重篤な合併症であり,頻度は0.03%と低いものの致死率は50-100%と報告されている.今回我々は臨床経過が異なる2例のAEFを経験したため,その経験を元にAEFの診断方法について考察した.【症例1】 49歳男性.CA後30日目に40℃の高熱,痙攣,左片麻痺を主訴に当院救急搬送.髄膜炎疑いにて保存的治療が行われ,症状の改善を認めていたが,食事再開後に症状が再燃.AEFを疑い胸部CTを施行したところ,左房-食道間に10mm程の縦隔内気泡が認められた.症状の改善を待った後にCO2送気下で内視鏡観察を行うと,中部食道にスリット状の小瘻孔認められたが,観察時にはair leak,出血はみられず.瘻孔の自然閉鎖も考えられたが,臨床経過を考慮し予防的にO-ringで瘻孔部を結紮.その後縦隔内気泡は消失し,食事再開後も症状の再燃は認めていない.【症例2】75歳男性.CA後20日目に40℃の高熱,意識障害を主訴に当院救急搬送.入院時敗血症と診断されたが,胸部CTにて左房-食道間に微小な縦隔内気泡を認めたことからAEFと診断.即座にCO2送気下で内視鏡検査を行ったところ,前例とは異なり,今度は中部食道に10mm程の卵円状の壁欠損が認められた.内視鏡治療は困難と判断し,即日緊急手術を施行(食道亜全摘,左房損傷部修復術).術後は敗血症からの離脱に成功し,現在食道再建術を検討中である.【考察】AEFの診断には簡便性,感度の点から胸部CTが望ましいと考えられるが,縦隔内気泡の程度と瘻孔径および重症度は必ずしも一致しないことが示唆された.一方CO2送気下での内視鏡観察は,空気塞栓のリスクが低く,瘻孔を直接観察できることから,治療方針の決定においては必要不可欠な検査と考えられた.
索引用語 心房食道瘻, カテーテルアブレーション