セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-症例3

タイトル 内P-546:

UltraflexTM留置後に食道気管瘻が拡大し,DumonTM stentをstent-in-stentにて留置した進行胸部食道癌の1例

演者 村上 坤太郎(西神戸医療センター・消化器科)
共同演者 吉田 裕幸(西神戸医療センター・消化器科), 沖重 有香(西神戸医療センター・消化器科), 荒木 理(西神戸医療センター・消化器科), 津田 朋広(西神戸医療センター・消化器科), 佐々木 綾香(西神戸医療センター・消化器科), 安達 神奈(西神戸医療センター・消化器科), 島田 友香里(西神戸医療センター・消化器科), 林 幹人(西神戸医療センター・消化器科), 井谷 智尚(西神戸医療センター・消化器科), 三村 純(西神戸医療センター・消化器科), 田中 里奈(西神戸医療センター・呼吸器外科), 大竹 洋介(西神戸医療センター・呼吸器外科), 青木 稔(西神戸医療センター・呼吸器外科)
抄録 【はじめに】切除不能食道癌症例における食道・気道狭窄あるいは瘻孔形成はその予後およびquality of life(以下,QOL)を著しく低下させる要因となる.現在,これらに対してQOL向上を目的にステント留置術が広く行われている.【症例】50歳台男性.来院2ヵ月前より嗄声と呼吸困難感が出現し,水分摂取にて咳嗽を認めるようになった.精査の胸部造影CTにて気管分岐部直上の胸部中部食道に食道癌を認め,腫瘍は気管を背側から圧排し食道気管瘻を形成していた.入院時,Performance status(以下,PS) 4と全身状態の著明な悪化がみられた.入院後,第10病日に食道癌の気管浸潤のために気道閉塞を発症し,oncological emergencyの状態となった.手術室にて全身麻酔下に,Covered typeのUltraflexTM (径20mm)を気管へ留置し,自覚症状の軽快を得た.第24病日に経皮内視鏡的胃瘻腸瘻造設(PEG-J)を行い,経腸栄養を開始した.その後食道気管瘻からの唾液流入は減少しPSは4→2へと改善を認め,化学放射線療法を開始した.腫瘍の縮小を認めたが,同時に食道気管瘻がUltraflexTMの非被覆部まで拡大し,再び食道気管瘻からの唾液流入症状で患者のPSは低下した.第238病日に拡大した瘻孔の閉鎖を目的にDumonTM stent (径16mm)を追加挿入した.症状は落ち着き化学療法を継続できたが,第330病日頃から再び唾液流入症状を認め,PS低下により抗癌剤を減量した.腫瘍の増大傾向を認めるようになり,第428病日に永眠された.【考察】非被覆部の食道気管瘻を閉鎖する手段として,今回の方法が最も安全で治療効果が期待できるものと考えられた.今後,この非被覆部分をいかに閉鎖し併発する肺炎を制御するかが,患者のQOL向上・治療の継続に重要な問題点と考えられた.
索引用語 進行胸部食道癌, ステント治療