セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-症例4

タイトル 内P-547:

EBウイルス感染との関連が示唆された食道多発潰瘍の2例

演者 末盛 浩一郎(愛媛大附属病院・1内科)
共同演者 村上 雄一(愛媛大附属病院・1内科), 高田 清式(愛媛大附属病院・臨床研修センター), 池田 宜央(愛媛大附属病院・光学医療診療部), 安川 正貴(愛媛大附属病院・1内科)
抄録 【症例1】70歳,男性.喉の違和感,食欲不振,繰り返す口内炎を主訴に来院.上部消化管内視鏡検査(EGD)で,咽頭部から食道下部にかけて白苔を伴う類円形潰瘍が多発していた.生検結果でEBウイルス感染を伴うリンパ腫細胞が示唆されたが,自然経過で病変は改善した.その後の全身精査でHIV感染症が判明し,ART療法導入後は再燃していない.【症例2】58歳,女性.発熱,咽頭痛,口腔内多発潰瘍,皮疹を主訴に来院.サルコイドーシスの病歴があり,他院でプレドニゾロン(PSL) 30mg/dayで加療されていたが,PSL漸減に伴い症状再燃し当院紹介.EGDで食道全体に浅い円形潰瘍が散在していた.来院時の臨床症状悪化に伴いステロイドパルス療法が施行され一時的に臨床症状は改善したが,フォローアップのEGDで食道全体に打ち抜き様の類円形潰瘍が多発していた.生検の結果,サイトメガロウイルスおよびEBウイルス感染を伴うリンパ球が染色された.その後,頚部リンパ節腫脹が出現し,生検の結果,節外性NK/T細胞リンパ腫と診断されたが,PSL漸減に伴い食道病変は改善した.【まとめ】2症例とも食道全体に類円形潰瘍が多発し,その背景としてHIV感染症,サルコイドーシス,ステロイド投与による免疫不全が存在していた.免疫不全に伴うEBウイルス再活性化が,リンパ増殖性疾患の発症および食道病変の形成に関与したと思われた.【結語】食道多発潰瘍病変は免疫不全状態の患者でしばしば見られ,その原因として主にサイトメガロウイルス,単純ヘルペスなどが知られている.原因不明や特発性とされてきた食道多発潰瘍病変の中にEBウイルス感染が関与している可能性があり,鑑別に加える必要があると思われ報告する.
索引用語 EBウイルス, 食道多発潰瘍