セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-症例4

タイトル 内P-549:

異なる経過を示した急性壊死性食道炎(黒色食道)の2例

演者 杉江 岳彦(岐阜赤十字病院・消化器内科)
共同演者 高橋 裕司(岐阜赤十字病院・消化器内科), 出田 貴康(岐阜赤十字病院・消化器内科), 松下 知路(岐阜赤十字病院・消化器内科), 伊藤 陽一郎(岐阜赤十字病院・消化器内科), 名倉 一夫(岐阜赤十字病院・消化器内科), 後藤 裕夫(岐阜赤十字病院・放射線科)
抄録 【緒言】急性壊死性食道炎は黒色食道を呈し極めて特徴的な内視鏡像である.しかし発症頻度は比較的稀である.今回我々は異なる経過を示した2例を経験したため報告する.【症例1】70歳代男性【既往歴】糖尿病,閉塞性動脈硬化症,脳梗塞後遺症【臨床経過】平成23年11月前医にて上部消化管内視鏡検査施行.食道/十二指腸潰瘍認め入院.絶食,補液にて潰瘍は改善.経口摂取開始したところ12月下旬に黒色吐物を認めた.CTにて小腸イレウス疑われ精査・加療目的に当院消化器内科へ紹介受診.上部消化管出血疑い内視鏡検査施行.胸部上部食道より下部食道にかけて全周性に黒色変化を認めた.食道胃接合部より肛門側はほぼ正常粘膜.基礎疾患(糖尿病,動脈硬化)の存在より食道粘膜の血流障害による急性壊死性食道炎が疑われた.保存的加療にて症状軽快.第6病日の内視鏡検査で黒色食道は消失し再生上皮で被覆されていた.第50病日退院.【症例2】70歳代女性【既往歴】糖尿病【臨床経過】平成25年1月中旬,自宅で意識消失し当院救急外来搬送.来院時,意識障害認め血圧,SpO2,体温測定不可.ICU管理にて状態改善,第6病日より発語認めた.第5病日の頭部MRIにて両側内頚動脈の全支配域に多発梗塞認めた.第2病日に吐血認め上部消化管内視鏡検査を施行.胸部中部食道より下部食道にかけて全周性に黒色変化を認めた.急性壊死性食道炎と診断し保存的加療開始.第12病日の内視鏡検査では再生上皮認めず浸出物と思われる乳白色のスポンジ様組織で覆われていた.同病日以後は高度な食道狭窄を呈し内視鏡での肛門側観察は不能となった.水分摂取困難となり第56病日より内視鏡的バルーン拡張術を繰り返し施行.【結語】今回我々は黒色食道を呈する急性壊死性食道炎の2例を経験した.2例とも基礎疾患を有しており食道粘膜の血流障害がその発症に関与したと推測された.2例の臨床経過の違いは全身循環動態のダメージ程度を反映したものと考えられた.
索引用語 急性壊死性食道炎, 黒色食道