セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-症例4

タイトル 内P-550:

超音波内視鏡で治療後の経過を追えた好酸球性食道炎の1例:治療効果判定における超音波内視鏡の有用性についての1考察

演者 山部 茜子(福島県立医大会津医療センター・消化器内科学)
共同演者 入澤 篤志(福島県立医大会津医療センター・消化器内科学), 渋川 悟朗(福島県立医大会津医療センター・消化器内科学), 阿部 洋子(福島県立医大会津医療センター・消化器内科学), 二階堂 暁子(福島県立医大会津医療センター・消化器内科学), 忌部 航(福島県立医大会津医療センター・消化器内科学), 星 恒輝(福島県立医大会津医療センター・消化器内科学)
抄録 【背景】好酸球性食道炎(EoE)は食道上皮内に多数の好酸球の浸潤がみられる稀な疾患でありステロイドが奏効する.内視鏡所見としては,縦走溝,気管様輪状狭窄,粘膜の白濁浮腫などが特徴的だが,超音波内視鏡(EUS)で観察される好酸球の食道壁内浸潤を反映した低エコー壁肥厚はその治療効果をより客観的に示すと考えられる.これまでにEUSで治療経過を追った報告はほとんどなく,貴重な症例と考え報告する.【症例】50歳代女性.生来健康でアレルギー歴なし.2012年3月から週に数回程度の胸痛と食道つかえ感を自覚していた.4月末に近医を受診し逆流性食道炎の診断でPPI内服するも症状改善せず,5月1日には昼食時に強い胸痛とつかえ感を自覚し再度近医受診.CTで食道壁肥厚を指摘され精査目的に当科を紹介受診した.上部消化管内視鏡(EGD)検査にて中下部食道の気管様輪状狭窄と粘膜の白濁浮腫を認め,EUSでは同部位は全層性に低エコーの壁肥厚所見として観察された.末梢血好酸球の上昇はなかったが生検にて好酸球浸潤が15-20個/HPF(400倍)でありEoEと診断した.ステロイド吸入(プロピオン酸フルチカゾン,200μg/日)の内服を開始とし,EUS,EGDによる治療効果判定を行った.治療前のEUSで壁肥厚の最も強かった下部食道壁の厚さを基準としたところ,治療前の食道壁厚は6.8mm,治療開始17日目で5.2mm,73日目で4.1mm,143日目で2.6mmと改善を認めた.最終的には壁肥厚の改善をもって治療終了とした.以後5ヶ月間は再発を認めていない.【考察】EoEの治療においてステロイド剤の投与量や中止時期について一定の見解はない.症状や粘膜表面からの生検の改善のみで治療を中止した場合,3ヶ月以内の再発が多いとの報告があるが,今回5ヶ月と比較的長期にわたり再発を抑制できたことから,EoEの治療導入後の経過観察・治療終了の判断にEUSは有用と考えられた.
索引用語 超音波内視鏡, 好酸球性食道炎