セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-診断

タイトル 内P-553:

内視鏡的肉眼病型からみた隆起型食道扁平上皮癌の形態学的特徴と深達度診断に関する検討

演者 千野 修(東海大・消化器外科)
共同演者 島田 英雄(東海大大磯病院・外科), 西 隆之(東海大大磯病院・外科), 葉梨 智子(東海大東京病院・外科), 山本 壮一郎(東海大八王子病院・外科), 小澤 壮治(東海大・消化器外科), 幕内 博康(東海大)
抄録 【目的】食道癌を適切に治療するためには正確な深達度診断が必要となる.今回,隆起型食道癌について内視鏡所見を中心とした形態学的特徴と病理組織学的所見から深達度診断について検討した.【対象と方法】2009年4月から2012年9月までの3年6か月間に教室で扱った隆起型食道扁平上皮癌75例を対象とした.年齢48~90(平均66.2)歳,男女比=67:8,治療法は切除59例(内視鏡的切除14例,外科的切除45例),非切除16例である.肉眼病型分類は0-IIa型34例,0-I型25例,1型は16例である.癌腫の内視鏡的肉眼病型別に隆起病巣部分の色調および形態学的特徴および切除例における病理組織学的壁深達度,組織分化度とNBI拡大観察所見ついて検討した.【結果】隆起型食道癌の病型は0-IIcまたは0-IIb型を伴う混合型が主体であり,癌浸潤最深部の多くは隆起部分に一致していた.0-IIa型では白色顆粒状および白色扁平低隆起は分化型粘膜癌の代表的病型であった.基部に軽度のくびれを有する赤色小結節状0-IIa型の深達度はT1a-LPM(M2)~T1b-SM1 程度,基部に裾を引く赤色結節状0-IIa型はT1b-SM2,SM3を呈していた.0-I型の深達度は広基性赤色調0-Is型では粘膜下層深部浸潤癌(Tb-SM2,SM3)が多く,亜有茎性赤色調隆起0-Ip型でもSM浸潤を呈した.1型食道癌については基部の広い裾を引く形状の1型はT2またはT3外膜浸潤癌の進行癌を呈したが,基部の狭い赤色調の1型はT1b-SM3~T2を示しておりT3外膜浸潤癌は低頻度であった.日本食道学会の食道表在癌拡大内視鏡分類を用いたNBI拡大観察ではTypeB1およびB3異常血管所見は概ね深達度を反映していたが,Type B2の正診率は約50%であった.また,SM2,3では高度に拡張した異常血管であるType B3を認識できない症例が半数存在した.【結語】通常内視鏡観察による色調および形態学的特徴は隆起型食道扁平上皮癌の深達度診断に有効であった.
索引用語 隆起型食道扁平上皮癌, 深達度診断