セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-ESD1

タイトル 内P-557:

食道ESD後の発熱症例の検討

演者 川田 登(静岡がんセンター・内視鏡科)
共同演者 田中 雅樹(静岡がんセンター・内視鏡科), 萩原 朋子(静岡がんセンター・内視鏡科), 澤井 寛明(静岡がんセンター・内視鏡科), 角嶋 直美(静岡がんセンター・内視鏡科), 滝沢 耕平(静岡がんセンター・内視鏡科), 今井 健一郎(静岡がんセンター・内視鏡科), 鷹尾 俊達(静岡がんセンター・内視鏡科), 堀田 欣一(静岡がんセンター・内視鏡科), 松林 宏行(静岡がんセンター・内視鏡科), 山口 裕一郎(静岡がんセンター・内視鏡科), 小野 裕之(静岡がんセンター・内視鏡科)
抄録 【目的】食道ESD症例では,明らかな術中偶発症がない場合でも,治療後に発熱を呈することがしばしばある.しかし,食道ESD後の発熱の要因や臨床経過は不明である.食道ESD後の発熱に関連する因子を検討し,臨床経過を明らかにすることを目的とした.【方法】2005年から2011年までの期間に,当院で食道ESDを施行した症例のうち,術中穿孔や誤嚥性肺炎,縦隔気腫を合併した15症例を除いた364例を対象とした.ESD後に38度以上の発熱を認めた発熱群73例(20%)と,発熱なし群291例(80%)に分類し,患者病変背景,治療成績,臨床経過について後ろ向きに検討を行った.【成績】発熱群,発熱なし群の患者病変背景は,年齢中央値がそれぞれ,64歳(45-85),68歳(39-85),病変領域はCe-Ut/Mt/Lt-Aeが10/44/19,47/164/80であった.治療成績は,切除時間90分超が17例(23%),50例(17%),切除標本長径40mm超が41例(56%),111例(38%),術後粘膜欠損3/4周超が21例(29%),39例(13%)であった.また,術中の固有筋層の露出をそれぞれ9例(12%),27例(7%)で認め,狭窄予防目的でのステロイド使用例は11例(15%),36例(12%)であった.多変量解析の結果では,ESD後の粘膜欠損3/4周超(OR:4.3,95%CI:1.6-11.4)のみが有意な発熱のリスク因子であった (P<0.05).発熱群の臨床経過は,発熱期間1日が62例(85%),2日以上が11例(15%)で,46例(63%)は抗菌薬を使用せず軽快した.また27例(37%)で血液培養検査が施行され,陽性となったのはESD2日後に胃瘻造設をした1例(4%)のみであった.【結論】ESD後の3/4周超の粘膜欠損は,食道ESD後の発熱の有意なリスク因子であった.また食道ESD後の発熱はほとんどが一過性で,菌血症の頻度も稀であり,今後抗菌薬の使用の是非についての検討が必要と考えられた.
索引用語 食道ESD, 発熱