セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-ESD1

タイトル 内P-559:

食道内視鏡的粘膜切除術後のPPI投与の有用性:多施設前向きランダム化比較試験

演者 松浦 倫子(大阪府立成人病センター・消化管内科)
共同演者 堀 貴美子(京都大大学院・腫瘍薬物治療学), 小野 裕之(静岡がんセンター・内視鏡科), 上堂 文也(大阪府立成人病センター・消化管内科), 大圃 研(NTT東日本関東病院・消化器内科), 土山 寿志(石川県立中央病院・消化器内科), 武藤 学(京都大大学院・腫瘍薬物治療学)
抄録 【目的】現在,食道癌の内視鏡的粘膜切除術(ER)後にプロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬(H2RA)などの制酸剤を投薬した方が良いかどうか定かで はない.本研究の目的は,食道癌ER後のPPI投与が術後の胃食道逆流症(GERD)症状を改善するかどうかを検証することである.【方法】対象は食道ERを受ける深達度Mの扁平上皮癌例で,内視鏡的逆流性食道炎またはGERD症状がなく,ER後潰瘍の長径が5 cm以下または周在3/4以下と予想される症例.対象を腫瘍径,年齢,性,施設を調整因子としてPPI投与・非投与群にランダムに割り付けた.PPI投薬群にはER翌日からRabeprazole 20 mgを5週間投与した.非投与群はPPIなしに経過観察したが,Fスケール8点以上のGERD症状を認めた場合はPPIを投与した.両群でFスケール10点以上のGERD症状を認めた際は試験を中止し,後治療(Rabeprazoleを除くPPI,H2RA,粘膜防御剤いずれも可)を行った.対象例は治療翌日から8日間,FスケールによるGERD症状とVASスケールによる疼痛の程度を日誌に記録した.主要評価項目はFスケール全項目で8点以上のGERD症状の出現割合.副次評価項目は1)ER5 週目 の潰瘍の瘢痕化割合,2)Fスケール酸逆流症状関連項目で8点以上のGERD症状の出現割合,3)内視鏡治療後の痛みの出現割合,4)PPI非投与群でGERD症状が出現した症例に対するPPIの症状改善割合,5)PPIによる有害事象とした.目標症例数は非投与群におけるGERD症状の発生割合80% をPPIが20%抑制すると仮定して一群110例と算出した.【成績】登録期間2009年11月 から2012年12月の間に15施設で合計229例(PPI投与群115例,PPI非投与群114例)が登録され試験が終了した.【結論】食道ER後のPPI投与の有用性に関するエビデンス・レベルの高い臨床試験を遂行することができた.
索引用語 食道ESD, PPI