共同演者 |
大森 泰(慶應義塾大・内視鏡センター), 川久保 博文(慶應義塾大・一般消化器外科), 竹内 裕也(慶應義塾大・一般消化器外科), 高橋 常浩(慶應義塾大・一般消化器外科), 和田 則仁(慶應義塾大・一般消化器外科), 才川 義朗(慶應義塾大・一般消化器外科), 向井 万起男(慶應義塾大・病理診断部), 北川 雄光(慶應義塾大・一般消化器外科) |
抄録 |
(はじめに)食道癌治療化学放射線療法(CRT)治療後に局所遺残再発が一定の頻度で発生する.局所遺残再発治療としてのサルベージ手術は手術関連有害事象と死亡率が高く一般的治療とされていない.一方,局所遺残再発治療としてのサルベージ内視鏡治療(EMR/ESD)の安全性は高く長期成績も一般に良好であると報告されている.われわれは,CRTもしくは放射線治療(RT)後局所遺残再発病変がEP-SM2と推測されリンパ節転移や臓器転移の無い例を対象とし積極的にサルベージ内視鏡治療を行ってきた.(対象と方法)2001年から2012年の間に,CRT/RT後局所遺残再発に対し内視鏡治療が行われた症例をretrospectiveに抽出し,初回治療時診断と治療法・内視鏡診断・内視鏡治療法・合併症・切除標本病理診断・予後につき検討した.(結果)症例は37例(内視鏡治療病変78病変)である.初回治療時深達度はT1a-EP 3例,T1a-LPM 5例,T1a-MM 6例,SM1 5例,SM2 2例,SM3 3例,SM 5例,MP 1例,AD 3例,AI 4例であった.初回治療はCRT27例/RT10例,治療効果はCR 22例/PR 15例である.40病変(初回診断病変遺残再発29病変,異時性多発病変11病変)に内視鏡治療が施行され,続く経過観察中に出現した38病変(初回内視鏡治療部位の再燃22病変,異時性多発病変17病変)に追加内視鏡治療が行われた.EMR/ESD 67病変,APC 11病変が施行され,粘膜下層の繊維化が高度であるため一般に高い技量を必要としたが穿孔・狭窄などの合併症を認めなかった.切除標本病理診断はdysplasia 6例,T1a-EP 26例,T1a-LPM 17例,T1a-MM 5例,SM1 6例,SM2 5例,SM3 1例,SM 1例で,食道癌死亡は1例のみであった.(結語)食道癌CRT/RT後局所遺残再発治療に対するサルベージ内視鏡治療は高度の技術を必要とするがサルベージ手術より明らかに低侵襲・安全であり,切除可能で転移のない局所再発症例には根治をもたらす有用な治療手段である. |