共同演者 |
引地 拓人(福島県立医大附属病院・内視鏡診療部), 佐藤 匡記(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 渡辺 晃(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 高木 忠之(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 杉本 充(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 藁谷 雄一(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科), 小原 勝敏(福島県立医大附属病院・内視鏡診療部), 大平 弘正(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科) |
抄録 |
【目的】食道ESDの導入で確実な一括切除が可能となったが,周在性が広い病変では術後狭窄が問題であり,当院では3/4周以上の症例では全例バルーン拡張術を要した.近年,ステロイド局注やステロイド経口投与による狭窄予防の有用性が報告されているが,穿孔や感染症発症のリスクが問題視されている.そこで,われわれは,ステロイドを「パルス療法」で用いる新たな方法を考案し,現段階での有用性と安全性を検討した(当院倫理委員会で承認).【方法】2011年10月から2013年3月までに,ESD術後の切除面が3/4周以上となった症例をエントリーした.ステロイドパルス療法は,メチルプレドニゾロン500mg/日をESD翌日から3日間点滴静注し,その後のステロイドの維持療法は施行しなかった.内視鏡検査は,ESD7,14,28,56日目とつかえ感が出た場合に施行し,狭窄の有無を確認した.狭窄の定義は,GIF-Q206Jが通過しない場合とし,狭窄時は狭窄が改善するまでバルーン拡張術を週1回で施行した.患者背景,治療成績(狭窄率,狭窄までの期間,バルーン拡張術の回数,拡張術に要した期間),有害事象について検討した.【結果】7例9病変がエントリーされ,全例男性で,平均69.8歳であった.組織型は全例扁平上皮癌で,深達度はEP 3病変,LPM 3病変,MM 1病変,SM2 1病変,肉眼型はIIc 7病変,IIb 2病変であった.平均切除長径は58.1mm(30-111mm;1例は3病変をまとめて切除)であった.出血・穿孔は認めなかった.ESD後の狭窄は42.9%(3例)で認め,拡張術を追加した.拡張を要した症例の周在性は4/5周が1例,7/8周が2例であった.狭窄までの期間は平均19.7日(17-21日),拡張回数は平均3.3回(1-6回),拡張期間は平均20.3日(5-35日)であった.ステロイドパルス療法に伴う有害事象は認めなかった.【結論】ステロイドパルス療法は半数以上の症例で拡張術を必要としない点で有用で,安全性も問題がなかった.今後,さらに症例を重ねて有用性を検討したい. |