セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-ESD2

タイトル 内P-564:

食道ESD時のプロポフォール持続投与による鎮静効果の検討

演者 澤口 昌亨(秋田大・消化器内科)
共同演者 神 万里夫(秋田大・消化器内科), 松橋 保(秋田大・消化器内科), 大場 麗奈(秋田大・消化器内科), 畠山 夏美(秋田大・消化器内科), 小泉 重仁(秋田大・消化器内科), 小野地 研吾(秋田大・消化器内科), 俵谷 伸(秋田大・消化器内科), 渡部 昇(秋田大・消化器内科), 眞嶋 浩聡(秋田大・消化器内科), 大西 洋英(秋田大・消化器内科)
抄録 【背景と目的】 食道ESDは胃や大腸に比べ治療に長時間を要することが多く,偶発症なく病変を一括切除するには,術中に安定した鎮静や鎮痛レベルを維持する必要がある.しかし,食道ESDの対象となる患者背景には常習飲酒家が多く,従来使用してきたベンゾジアゼピン系薬剤では鎮静不良や脱抑制が生じ治療に支障をきたす症例を度々経験した.以上の理由から,当科では2010年よりプロポフォールを用いている. 今回我々は,食道ESD時のプロポフォール持続投与による鎮静効果とその安全性について検討したので報告する.【対象と方法】 2012年1月~12月までに当科で施行した食道ESD症例41例44病変のうち,挿管管理下で施行した症例を除いた36例39病変を対象とし,術中の呼吸抑制および循環抑制の頻度を調べるとともに,その危険因子についても検討した.ESD前処置としてペンタゾシン15mgを投与した後,プロポフォールを導入量5~10mg/kg/h,維持量3~5mg/kg/hとして持続投与を行った.術中は全例BISモニターを装着し,体動や呼吸循環動態を参考にしつつBIS値40~60の間で麻酔深度を調節した.【結果】 平均年齢68.5歳,飲酒家:非飲酒家7:5.Sp02(<90%)低下率52.8%(19/36)のうち,導入時47.2%(17/36), 維持0.06%(2/36), 飲酒家52.4%(11/21), 非飲酒家53.3%(8/15)であったが,いずれもNasal cannula1~3Lの酸素投与でSpO2 90%以上に回復し得た.また,血圧低下(<90mmHg)は22.2%(8/36), 心拍数低下(<50/min)は22.2%(8/36)であったが,昇圧剤や強心剤の投与を必要とすることはなかった.【結語】 プロポフォールは麻酔導入時にSpO2の低下に注意を要するが,維持では比較的安全に鎮静効果を得ることができ,合併症なくESDを完遂することができた.また,飲酒歴に影響を受けずに鎮静が可能であると推測された.今後はさらなる症例数の蓄積により検討を行う必要がある.
索引用語 食道ESD, 鎮静