セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-ESD2

タイトル 内P-565:

プロポフォール及びデクスメデトミジン塩酸塩を併用したHybrid鎮静-作用機序からみた理想的な鎮静法を目指して-

演者 山口 智裕(武田総合病院・消化器センター)
共同演者 滝本 見吾(武田総合病院・消化器センター), 上田 智大(武田総合病院・消化器センター), 玉置 大(武田総合病院・消化器センター), 柏 敦文(武田総合病院・消化器センター), 藤永 陽介(武田総合病院・消化器センター), 松山 希一(武田総合病院・消化器センター)
抄録 【背景】ESDは困難例では治療時間が長時間となり,安全な麻酔法が必要とされる.GABA受容体作動薬であるプロポフォール(以下PF)は有用との報告が多数ある反面,副作用である呼吸抑制のため内視鏡室鎮静法として問題が残るのが現状である.一方α2受容体作動薬であり呼吸抑制が生じないと報告されているデクスメデトミジン塩酸塩(以下DEX)は,鎮静が浅くなる傾向があるのが問題点として挙げられる.今回,対象患者が大酒家であることが多く鎮静が困難である食道ESDにおける鎮静法として,作用機序や副作用が異なる2つの鎮静剤PF,DEXを用いたHybrid鎮静について有用性と安全性について検討したので報告する. 【対象と方法】当院で施行した食道ESD185例のうち2009年1月以降の食道表在癌62例を対象とした.鎮静法別にA群(PF+DEX)28例,B群(PF単独)34例に分類し,術中のバイタルサイン,不穏発生率,治療時間について検討した.A群は導入でPF 0.8mg/kg及びDEXを4μg/kg/時(10分間)静注した.維持は,PF2mg/kg/時及びDEX0.3μg/kg/時で持続静注した.B群は導入でPF 0.8mg/kgを静注し,維持はPF3mg/kg/時を持続静注した.両群ともに導入時にペンタゾシン7.5mgを静注し,体動時にPF10mg静注かつ10mg/時ずつ増量した.【結果】A群は平均年齢70.4歳,平均腫瘍径32mm,Ut/Mt/Lt:2/21/5でありB群は平均年齢74.1歳, 平均腫瘍径34mm,Ut/Mt/Lt:4/24/6であった.(1)平均総PF投与量:A群480mg, B群600mg. (p<0.05) (2)脈拍低下(50/分以下):A群6%,B群0%.(3)血圧低下(80mmHg以下):A群15%,B群4%(p<0.05). (4)SpO2低下(90%以下):A群0%,B群9%(p<0.05). (6)不穏発生:A群9%,B群31%(p<0.05) (7)治療時間中央値:A群85分,B群78分であった. 【結論】PFとDEXを併用したhybrid鎮静は,総PF量を減量できたため,呼吸抑制が無く,不穏の少ない鎮静が可能であり,有用な鎮静法となる可能性が示唆された.
索引用語 プロポフォール, デクスメデトミジン塩酸塩