セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-GERD/静脈瘤

タイトル 内P-570:

消化性潰瘍既往のある低用量アスピリン服用患者におけるびらん性食道炎の臨床的特徴

演者 藤田 剛(神戸大大学院・消化器内科学)
共同演者 久津見 弘(神戸大大学院・消化器内科学), 佐貫 毅(三木市民病院・消化器内科), 村上 学(神戸大大学院・消化器内科学), 早雲 孝信(神戸大大学院・消化器内科学), 東 健(神戸大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】消化性潰瘍既往のある低用量アスピリン服用者におけるびらん性食道炎の臨床的特徴を明らかにすることを目的とした.【方法】消化性潰瘍既往のある低用量アスピリン服用者におけるrabeparazoleの潰瘍再発抑制効果を検討するために実施した多施設無作為前向き研究での登録患者データを用いた事後解析を行った.対象患者の登録は2008年8月から2010年7月までに日本国内の28施設で行われた.最大解析対象集団となった261名を本研究の対象患者とした.登録時の内視鏡検査にてロサンゼルス分類によるびらん性食道炎と,ランザスコアによる胃粘膜傷害を評価した.ヘリコバクターピロリ感染診断はUBTにておこなった.びらん性食道炎の有無別での2群間の臨床的特徴,および酸分泌抑制薬の併用別での3群間の臨床的特徴について統計学的検討を行った.【成績】登録時PPIが28.0%,H2RAが26.1%で併用されていた. 261名のうち39名(14.9%)にびらん性食道炎を認めた.びらん性食道炎群はびらん性食道炎なし群と比べ上腹部症状59.0%対29.3%, p=0.00059),胸焼け症状30.8%対14.0%, p=0.018)を持つものが多く,GSRS酸逆流スコア(2.01対1.43, p=0.040),FSSG酸逆流スコア(4対2.18, p=0.0067),FSSG全体スコア(6.92対4.30, p=0.0067)は高値であった.また,肥満(39.5%対25.4%, p=0.00038),高血圧症(87.2%対70.3%, p=0.046)の合併が多かった.酸分泌抑制薬の併用によって胃ランザスコア1以上の頻度には有意差を認めPPI群で低下していたにも関わらず(PPI群38.4%,H2RA群63.2%,併用無し群60.8%, p=0.0029),びらん性食道炎の頻度には有意な差を認めなかった(PPI群13.7%,H2RA群17.6%,併用無し群14.2%, p=0.76).【結論】消化性潰瘍既往のある低用量アスピリン服用者におけるびらん性食道炎は酸分泌抑制薬に抵抗性となりやすい可能性がある.(本研究はCare Study Group によるCARE研究の事後解析研究である)
索引用語 アスピリン, GERD