セッション情報 | ポスターセッション(消化器内視鏡学会)食道-GERD/静脈瘤 |
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タイトル | 内P-573:内視鏡的硬化療法(EIS)により重篤な臓器合併症を来した2症例 |
演者 | 上嶋 昌和(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科) |
共同演者 | 相原 洋祐(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 梅本 典江(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 浪崎 正(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 北出 光輝(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 瓦谷 英人(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 高谷 広章(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 福井 博(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 中井 謙之(中井記念病院・外科), 松村 雅彦(奈良県立医大・地域医療学) |
抄録 | 【症例1】77歳男性.肝硬変症(Child-Pugh score 5)・糖尿病にて当院通院中,食道静脈瘤(LmF2CbRC2)増大にてEIS目的で入院となった.術前の超音波内視鏡(EUS)では明らかな食道壁貫通血管はなかった.2条の静脈瘤に対し合計12.6mLの5%エタノールアミン・オレート(EOI)にてEISを施行,静脈瘤造影像(EVIS)では静脈瘤・及びすだれ様血管が造影された.腎機能は術前BUN/Cre 14/0.73 mg/dLだったが,EIS翌日に40/2.08,2日後に52/3.39まで上昇した.輸液負荷にて経過をみたところ2週後には11/1.12まで改善した.EISによる腎不全と考え,2回目以降を静脈瘤結紮術(EVL)に変更したところ,特に合併症なく治療遂行できた.後日EVISを見直すと,静脈瘤から奇静脈系へ通ずるシャント血管が認められた.【症例2】46歳男性.アルコール性肝硬変(Child-Pugh score 9)と糖尿病にて他院通院中.食道静脈瘤(LmF2CbRC2)の治療目的で紹介となった.術前のEUSでは食道壁貫通血管,傍食道静脈はなかったが,腹部CTでは門脈は著明に狭小化し,下腸管膜静脈から左精巣静脈・腸骨静脈への巨大な門脈大循環シャントが存在した.1条の静脈瘤に対し5%EOIを5.0ml注入しEISを施行した.EVISではすだれ様血管・左胃静脈が造影された.術後から弛張熱とCRP上昇,血圧低下,血小板減少と急激な肝機能障害・肝予備能低下,腎不全が出現し重篤な状態となったが,広域抗生剤・昇圧剤・血小板投与等の治療で全身状態は改善した.EISによる肝不全・腎不全発症と考え2回目以降をEVLに変更,合併症なく治療遂行できた.【考察】EISにおいて,稀ではあるが重篤な臓器障害を合併することがある.今回われわれはEIS後に肝不全や腎不全を合併した症例を経験し,その発症にはシャント血管の関与が疑われた.シャント血管が判明,または疑われる症例では合併症に充分留意してEISを施行するか,またはEVLに変更する必要がある. |
索引用語 | 硬化療法, 合併症 |