セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-治療

タイトル 内P-577:

食道癌化学放射線療法後の救済治療としてタラポルフィンナトリウムと半導体レーザを用いた光線力学療法を行った2例

演者 櫛田 早絵子(兵庫県立がんセンター・消化器内科)
共同演者 武川 直樹(兵庫県立がんセンター・消化器内科), 三村 卓也(兵庫県立がんセンター・消化器内科), 津村 英隆(兵庫県立がんセンター・消化器内科), 坂本 岳史(兵庫県立がんセンター・消化器内科), 飛松 和俊(兵庫県立がんセンター・消化器内科), 山本 佳宣(兵庫県立がんセンター・消化器内科), 三木 生也(兵庫県立がんセンター・消化器内科), 津田 政広(兵庫県立がんセンター・消化器内科), 西崎 朗(兵庫県立がんセンター・消化器内科), 井口 秀人(兵庫県立がんセンター・消化器内科)
抄録 【背景】食道癌化学放射線療法(CRT)後の遺残再発に対する救済治療としてのフォトフリンとエキシマダイレーザを用いた光線力学療法(PDT)は, 低侵襲かつ寛解率が高いと報告される.タラポルフィンナトリウムと半導体レーザを用いたPDT(新規PDT)は,従来と比して遮光期間が短く光毒性も少ない.【対象及び方法】食道扁平上皮癌CRT後局所遺残再発に対する新規PDTを当院で施行された2例について,患者背景,内視鏡所見,治療効果,安全性,予後を検討した.【結果】症例1,80代男性.cT1bN0M0の診断で放射線療法単独60Gy施行し,寛解.再発:Mt,IIc+IIa,8mm径,EUS:深達度MM-SM1.経過:範囲を2分割して半導体レーザ74J/cm2照射.治療2日目の内視鏡検査では浮腫,うっ血,治療8日目に照射部の潰瘍化,治療3か月後に瘢痕化を認め,生検にて腫瘍陰性維持,局所は寛解と診断された.治療4ヶ月後のCTにてリンパ節転移を指摘され化学療法を開始.現在治療25カ月後,生存中.症例2,70代男性.cT4N1M0の診断でCRT60Gy施行し,生検陰性かつ部分奏効.再発:Mt,2型,15mm,EUS:深達度SM2-MP.経過:範囲を4分割して半導体レーザ100J/cm2照射施行.治療2日目の内視鏡検査で浮腫,うっ血を認めたが,周堤の残存あり,3分割して追加照射した.治療3日目,浮腫性変化は消退.治療8日目に潰瘍化,その後治癒を認めず.治療2か月後,生検にて扁平上皮癌,遺残と診断され,化学療法施行.治療6.5ヶ月後に原発巣増大による消化管出血のため死亡.2例とも,薬剤投与,レーザ照射による副作用,合併症は認めなかった.【考察】新規PDTにて2例中1例は局所の寛解を得た.非寛解例は,寛解例と比較し病変がより進行していた.また,照射翌日の追加照射では十分な反応を得られなかったことから,従来のPDTよりも初回の照射がより重要になる可能性があると考えられた.
索引用語 食道癌, 光線力学療法