セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

内視鏡的乳頭切除術1

タイトル 内P-585:

十二指腸乳頭部腫瘍に対する内視鏡的乳頭切除術の検討

演者 佐々木 翔(淀川キリスト教病院・消化器内科)
共同演者 西尾 昭宏(淀川キリスト教病院・消化器内科), 吉田 竜太郎(淀川キリスト教病院・消化器内科), 三浦 翔(淀川キリスト教病院・消化器内科), 印藤 直彦(淀川キリスト教病院・消化器内科), 末吉 伸行(淀川キリスト教病院・消化器内科), 矢野 雄飛(淀川キリスト教病院・消化器内科), 山岡 優子(淀川キリスト教病院・消化器内科), 廣吉 康秀(淀川キリスト教病院・消化器内科), 阿南 隆弘(淀川キリスト教病院・消化器内科), 松井 佐織(淀川キリスト教病院・消化器内科), 菅原 悦子(淀川キリスト教病院・消化器内科), 渡辺 明彦(淀川キリスト教病院・消化器内科), 菅原 淳(淀川キリスト教病院・消化器内科), 向井 秀一(淀川キリスト教病院・消化器内科), 寺村 一裕(淀川キリスト教病院・病理診断科)
抄録 【目的】当院における十二指腸乳頭部腫瘍に対する内視鏡的乳頭切除術の成績をもとに有用性と問題点について検討する.【方法】対象は,1998年から2012年まで,術前に露出腫瘤型の十二指腸乳頭部腺種と診断された17例である.全例術前にMRCP,ERCP,EUSを施行し,乳頭部内にとどまり,胆・膵管浸潤がないことを確認した.スネアは2005年までは針付きスネアを,それ以降は通常より硬いプロトタイプのOlympus社製スネアを主に使用した.術後膵炎予防のため,主膵管内へ5Fr膵管ステント留置を可能な限り試みた.【成績】病理組織学的診断は腺腫(11例),腺癌(4例),過形成(1例),再生異型(1例)であった.完全切除率53%(9例/17例),治癒切除率76%(13例/17例)であった.断端陽性,または熱変性により断端陰性が確認できなかった8例は,腺癌3例,腺腫5例であった.腺癌3例は手術を施行し,そのうち2例は術後切除標本に癌成分は認められなかった.内視鏡的治療により完全切除した腺癌1例は経過観察中に再発はなかった.術後合併症は,膵炎4例,出血3例,穿孔1例,乳頭の瘢痕狭窄による膵炎・胆管炎1例であった.膵管ステントは,10例に留置できたが,うち1例に急性膵炎を発症した.残りの7例では熱変性のため留置できず,3例に急性膵炎を発症し,そのうち2例ははちまきひだを含む十分な切除ができていなかった.硬いスネアによる切除では通電時間が短く,膵炎の発症は減少した(1例/8例).【結論】術前にMRCP,ERCP,EUSを駆使しても深達度診断には限界があり,切除標本の断端評価も熱変性の影響により困難例もあるため,内視鏡的乳頭切除術の適応は露出腫瘤型腺腫に限定すべきと考える.また,はちまきひだまでを含む十分な切除を,硬いスネアを用いて高出力の高周波で短時間に行い,膵管ステントを留置することが膵炎の予防として重要である.
索引用語 十二指腸乳頭部腫瘍, 内視鏡的乳頭切除術