セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

内視鏡的乳頭切除術1

タイトル 内P-587:

当科における内視鏡的乳頭切除症例の検討

演者 岸田 憲弘(慶應義塾大・一般消化器外科)
共同演者 北郷 実(慶應義塾大・一般消化器外科), 田邉 稔(慶應義塾大・一般消化器外科), 板野 理(慶應義塾大・一般消化器外科), 篠田 昌宏(慶應義塾大・一般消化器外科), 八木 洋(慶應義塾大・一般消化器外科), 阿部 雄太(慶應義塾大・一般消化器外科), 日比 泰造(慶應義塾大・一般消化器外科), 藤崎 洋人(慶應義塾大・一般消化器外科), 相浦 浩一(市立川崎病院・外科), 北川 雄光(慶應義塾大・一般消化器外科)
抄録 【目的】十二指腸乳頭部腫瘍に対する内視鏡的乳頭切除 (EP)症例を臨床病理学的に検証し,その問題点に関して検討する.【方法】2000年から2012年までに当科で施行されたEP症例21例 (男性16例,女性5例,平均年齢59歳)を対象とし,術前診断との一致率,偶発症発生率,予後に関して検討した.【成績】術前画像診断で明らかな胆管・膵管内進展が認められない十二指腸乳頭部腫瘍をEPの適応とした.腫瘍の肉眼型は露出腫瘤型19 例,非露出腫瘤型2例.腫瘍最大径は平均13.9mm(8~25mm).術前診断は19例が中等度~高度異型腺腫,1例が高分化型腺癌,1例がカルチノイドであった.術前診断が腺腫の19例中2例 (10.5%)が術後診断で癌と診断された.3例の腺癌症例の組織型はtub1でly0,v0,panc0,進達度mが2例,odが1例であった.偶発症は出血が8例,膵炎が2例,膵液漏が1例,穿孔が1例,ステント遺残が1例であり,約半数の症例で何らかの偶発症の発生を認めた.平均観察期間56か月(3~141か月)で,予後は腺癌症例3例中1例が肺癌(49か月後)で他病死,1例が悪性リンパ腫(49か月)を併発した以外無再発生存中である. 腺腫症例は17例中1例がFAPのため遺残を認めている以外,カルチノイド症例を含め無再発である.【結論】EP施行例においては術前診断と術後診断の不一致が問題となるが,完全生検としての有用性は高いと思われた.EPは軽度のものを含めると偶発症が多く発生している点が課題であるが,腺癌の症例でも長期無再発生存例が認められ,縮小手術の可能性が示唆された.今後は腺癌に対する適応条件を検討する必要がある.
索引用語 乳頭部腫瘍, 内視鏡的乳頭切除術