セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

内視鏡的乳頭切除術1

タイトル 内P-588:

当院における内視鏡的乳頭切除術の臨床的検討

演者 田口 宏樹(鹿児島大・光学医療診療部)
共同演者 船川 慶太(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 小薗 雅哉(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 岩屋 博道(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 有馬 志穂(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 佐々木 文郷(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 直子(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 瀬戸山 仁(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 藤田 浩(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 沼田 政嗣(鹿児島大・光学医療診療部), 井戸 章雄(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【背景】十二指腸乳頭部腫瘍に対する治療として,腺腫や早期癌に対しては低侵襲の観点から内視鏡的乳頭切除術(endoscopic papillectomy,以下EP)が普及しつつある.しかしながら未だ術後の出血・膵炎といった偶発症が問題となっている.今回,当科でのEP施行例について臨床的検討を行った.【対象】2007年~2012年に当科で経験したEP施行症例14例(男女比9:5,平均年齢64.6歳)を対象とした.EUS,IDUSにて病変直下の十二指腸固有筋層への浸潤や,膵管および胆管への進展がなく,さらにEUS, CTで明らかなリンパ節転移を認めない症例をEPの適応とした.スパイラルスネアを用いエンドカットモードで一括切除し,術後に膵管ステント(5 Fr)・胆管ステント(5-7 Fr)を留置した.また,切除面肛門側からの後出血が多く報告されていることから,12例目以降は切除面肛門側をクリップにて縫縮した.【結果】切除腫瘍径は病理にて腫瘍成分を認めなかった1例を除いた13例で平均13.0 mm(8-25 mm)で,組織診断は腺腫12例,腺癌1例であった.早期偶発症として後出血2例を認めた.いずれも切除面肛門側からの出血であり,1例はトロンビン散布のみで止血できたが,もう1例は後出血を4回繰り返し,最終的にクリップを用いて止血に成功した.術後早期の膵炎は認めなかったが,遅発性偶発症として膵管狭窄による急性膵炎を1例認めた.切除後遺残は2例に認めたが,APC焼灼や追加切除を行い現在まで再発を認めていない.【考察】EPは,十二指腸乳頭部腫瘍に対して有用な手技と考えられた.さらに,膵管ステント留置は術後の膵炎発症予防に有用であった.また,クリップによる切除面肛門側の縫縮を行った最近の3例については腫瘍径が比較的大きかったにもかかわらず後出血をきたしていないことより,切除面肛門側の縫縮を行うことで後出血を回避できる可能性が示唆された.
索引用語 内視鏡的乳頭切除術, 後出血