共同演者 |
木田 光広(北里大東病院・消化器内科), 三島 孝仁(北里大東病院・消化器内科), 金子 亨(北里大東病院・消化器内科), 山内 浩史(北里大東病院・消化器内科), 奥脇 興介(北里大東病院・消化器内科), 宮澤 志朗(北里大東病院・消化器内科), 岩井 知久(北里大東病院・消化器内科), 池田 弘子(北里大東病院・消化器内科), 竹澤 三代子(北里大東病院・消化器内科), 今泉 弘(北里大東病院・消化器内科), 小泉 和三郎(北里大東病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】十二指腸乳頭部腫瘍に対する内視鏡的乳頭部切除術(EP)施行後の遺残病変に対する内視鏡治療(Argon plasma coagulation (APC)・Heater probe)の有効性の検討.【方法】2004年4月から2013年3月まで当院で乳頭部腫瘍に対し施行したEP34例中,断端陽性症例であり生検で残存病変が認めた全10例を対象とした.側方断端陽性例に対してはAPCで焼灼術を施行し,胆管膵管側の断端陽性例に関してはAPC焼灼±Heater probeを管内に挿入し焼灼した.【結果】男性4例,女性6例,平均年齢63.2歳,乳頭部腺腫9例,乳頭部癌1例,側方断端陽性6例,深部断端陽性4例であった.乳頭部腺腫9例中8例(側方断端陽性6例,深部断端陽性2例)に関してはEP後の観察期間は1000日(583-1749)で局所再発は認めなかった.APC焼灼回数は平均1.6回(1-4)であった.乳頭部腺腫9例中1例は,胆管側の断端陽性であり,APC焼灼を5回施行するも生検でadenomaを認めた.APC焼灼に加えHeater probeで胆管内を焼灼するも生検でadenomaの残存を認めた為,経口胆道鏡を施行したところ胆嚢管合流部から乳頭部にかけて顆粒状粘膜を認め,乳頭部腺腫の胆管側表層進展と診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本ではHeater probeで焼灼した部位に関しては腫瘍細胞は認めなかった.乳頭部癌の1例は,術前の精査で胆管浸潤を認めた為,内視鏡治療適応外と判断し手術を勧めるも,本人が強く内視鏡治療を希望された為にEPを施行した.その結果,深部断端陽性であり,生検でadenocarcinomaを認めた.根治術を拒否した為定期的にAPC焼灼,Heater probeによる焼灼を行うも,EP施行後630日で死亡となった.【結語】乳頭部腺腫で側方断端陽性例ではAPC焼灼により,全例無再発であった.乳頭部腺腫で深部断端陽性症例に関してはHeater probe等による追加内視鏡治療で局所再発を予防できる可能性があるが,表層拡大進展の可能性があり再評価が重要と考えられた. |