共同演者 |
加藤 博也(岡山大病院・消化器内科), 榊原 一郎(岡山大病院・消化器内科), 野間 康宏(岡山大病院・消化器内科), 山本 直樹(岡山大病院・消化器内科), 堀口 繁(岡山大病院・消化器内科), 堤 康一郎(岡山大病院・消化器内科), 小川 恒由(広島市民病院・内科), 石田 悦嗣(倉敷中央病院・消化器内科), 岡田 裕之(岡山大病院・消化器内科), 山本 和秀(岡山大病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】当院および関連施設で施行したEndoscopic papillectomy(EP)について検討する.【対象と方法】対象は2003年11月から2012年7月までにEPを施行した十二指腸乳頭部腫瘍36例(男女比23:13,平均年齢63歳)である.EPの適応は腺腫やカルチノイドでIDUS,EUSを行い,胆管・膵管内進展陰性のものとしているが,症例によっては癌や胆管・膵管進展陽性が疑われる腺腫でもtotal biopsyの目的でEPを施行している.EPは一括切除を基本とし,切除後は胆管炎,膵炎予防に胆管,膵管ステント留置する.検討項目は,1術前後の組織および進展度診断能,2治療成績,3偶発症,4術後経過とした.【結果】1.術後組織診断は癌1例,腺腫30例,カルチノイド2例,過形成3例であり,術前後の組織診断の正診率は94%.進展度診断能は81%.2. 一括切除率は86%.組織学的完全切除率は52%(過形成3例を除く).完全切除とならなかった16例中10例は断端評価不能例,6例は垂直または水平断端陽性と病理診断されたが術後の内視鏡的生検で再発を認めたのは2例のみであった.胆管ステントは88%,膵管ステントは97%で留置可能であった.3.早期偶発症は出血10例,膵炎5例,膵管ステント迷入を1例に認め,後期偶発症は総胆管結石1例,乳頭部狭窄に伴う膵炎を2例に認めた.膵管ステント迷入は膵炎を併発したがステント抜去にて改善した.乳頭部狭窄は胆管,膵管ステントを一時的に留置後は再発は認めない.4. 観察期間中央値は14カ月(1-105).術後再発は6例に認め,腺腫2例で追加手術を施行しカルチノイド1例でリンパ節転移が出現し追加手術となった.癌1例,腺腫2例で再発を認めたが追加手術を希望されず経過観察中である.【結語】EPは胆管,膵管ステントの併用で比較的安全に行える手技だが,早期偶発症の頻度が多く後期偶発症も存在する.また術後病理にて断端評価困難例が多く,内視鏡および諸検査による慎重な経過観察が重要となる. |