セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

内視鏡的乳頭切除術3

タイトル 内P-593:

Papillectomyで診断した十二指腸乳頭部腺筋症(adenomyomatosis of major papilla)の2例

演者 浦田 矩代(川崎医大・2総合内科)
共同演者 後藤 大輔(川崎医大・2総合内科), 岡 好仁(川崎医大・2総合内科), 中村 純(川崎医大・2総合内科), 西野 謙(川崎医大・2総合内科), 末廣 満彦(川崎医大・2総合内科), 川中 美和(川崎医大・2総合内科), 河本 博文(川崎医大・2総合内科)
抄録 十二指腸乳頭部腫瘍性病変は内視鏡像と病理組織が一致すれば,治療方針決定にそれほど難渋はしないが,一致しない場合は確定診断にtotal biopsy目的でpapillectomyを行わざるを得ない.当院でpapillectomyによって診断したadenomyomatosisの2例について報告する.症例1:48歳男性.体重減少で施行した上部内視鏡検査で乳頭部腫大を指摘され紹介.内視鏡検査では十二指腸粘膜の炎症が強く乳頭も発赤調で当初は乳頭炎と考えたが,生検で絨毛腺管腺腫を疑う像を認めたため更なる精査を施行.EUSで乳頭は低エコー腫瘤を認め,明らかな膵管,胆管,十二指腸への浸潤傾向は無かった.IDUSでは胆管・膵管内に粘膜面の肥厚は無かった.経過観察も考えたが患者側の強い希望にて十分なICの後papillectomyを行った.切除標本では乳頭は腺窩上皮の過形成変化と平滑筋の増生を認め,それらが錯綜していたためadenomyomatosisと診断した.症例2:74歳男性.黒色便で精査目的に紹介.上部内視鏡検査で乳頭は発赤調でやや不整に腫大し僅かに出血していた.NBI・拡大観察では腺管の過形成部と斑状部の混在を認めたが血管異型ははっきりとしなかった.EUSで乳頭は10.5mm大の等エコー性腫瘤様陰影として描出された.また,ERCP,IDUSではともに異常所見を認めなかった.術前の繰り返し生検では核腫大と明瞭な核小体を有する異型細胞が散見されたが腫瘍とは断定できなかった.しかし肉眼的に腫瘍性病変を否定しきれなかったためpapillectomyを施行.切除標本は乳頭表面の過形成変化と異型性変化を伴い,深部ではadenomyomatous hyperplasiaであり悪性所見は認めなかった.十二指腸乳頭部に発生したadenomyomatosisの報告は医学中央雑誌で検索し得た限り6例あり,いずれも症例報告のみでまとまった文献は無かった.今回の2例に共通するする内視鏡所見は乏しかったが,内視鏡所見と病理との乖離がある場合adenomyomatosis も考慮すべき病変と考えられた.
索引用語 papillectomy, 乳頭部腺筋症