セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

内視鏡的乳頭切除術3

タイトル 内P-594:

内視鏡的乳頭切除術後により確実に膵管ステントを留置する工夫~膵管内ステント迷入下切除法の有用性~

演者 中原 一有(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科)
共同演者 奥瀬 千晃(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 末谷 敬吾(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 路川 陽介(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 伊東 文生(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】内視鏡的乳頭切除術 (EP) 後膵炎の予防策として,膵管ステント留置の有用性が多く報告されている.しかし,通電による凝固変化や出血の影響で切除後の膵管挿管が困難となり,膵管ステントの留置が行えない場合を少なからず経験する.そこで,EP後の確実な膵管ステント留置を目指し,膵管内ステント迷入下切除法 (以下本法) を考案した.本法は,EP前にあらかじめ主膵管内へ迷入させる状態で膵管ステントを挿入し,EP後に膵管ステントに装着した糸を牽引し膵管内からステントを引き出して適切な位置に留置する方法である.基礎実験により約10秒の通電でも切断されない糸を検索し安全性を確認後,当院倫理委員会の承認のもと臨床導入した.本法の有用性と安全性を検証する.【方法】2012年1月から12月の間に10例 (男性7,女性3,平均年齢70.0歳) に対し本法によるEPを試み,本法の手技成績,偶発症,遺残,再発について検討した.【成績】膵管内に迷入する状態でステントを留置し得たのは10例中9例で,1例は膵管の屈曲のため深部へのステント挿入が不可能で,従来の方法にてEPを施行した.膵管内に迷入する状態でステントを留置し得た9例に対し,本法によるEPを施行した.9例中8例は一括切除が可能であったが,腫瘍径28mmの1例は分割切除を要した.通電に約20秒を要した1例で糸が切断したが,糸の断端が切除面の膵管口より突出しており,最終的には全例で糸の牽引により膵管ステントを引き出して適切な位置へ留置することが可能であった.早期偶発症は,本法を施行した9例中3例にみられ,内訳は全例出血であり,膵炎はみられなかった.出血はいずれも内視鏡的に止血が得られた.1例はEPの1週間後に施行した生検にて腺癌を認め幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を追加したが,残る8例は現在までに遺残,再発は確認されていない.【結論】本法はEP後の膵管ステント留置をより確実にし,有用で安全に施行可能であると思われた.
索引用語 内視鏡的乳頭切除術, 膵管ステント