セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

内視鏡的乳頭切除術3

タイトル 内P-596:

十二指腸乳頭部腫瘍に対する内視鏡的乳頭切除術後出血の検討と予防

演者 山本 夏代(東京大・消化器内科)
共同演者 伊佐山 浩通(東京大・消化器内科), 川畑 修平(東京大・消化器内科), 斎藤 友隆(東京大・消化器内科), 渡邉 健雄(東京大・消化器内科), 内野 里枝(東京大・消化器内科), 濱田 毅(東京大・消化器内科), 宮林 弘至(東京大・消化器内科), 水野 卓(東京大・消化器内科), 木暮 宏史(東京大附属病院・光学医療診療部), 佐々木 隆(東京大・消化器内科), 平野 賢二(東京大・消化器内科), 多田 稔(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】十二指腸乳頭腫瘍に対する内視鏡的乳頭切除術(Endoscopic papillectomy EP)では術後の膵炎,出血,穿孔などが問題となる.術後出血について検討を行った.
【方法】2003年から2012年までに生検にて乳頭腺腫と診断され,EPを施行した24例(男性18例,女性6例,平均年齢64.4才).全例術前にEUSおよび造影CTによる評価を行った後,EPを施行した.2009年までの15例では,スネアで一括切除した後,出血部もしくは露出血管と思われる部位を止血鉗子で焼灼.原則膵管ステントを留置し,1週間後に抜去した.2010年からの9例では同様の手技に加え,切除後の出血にかかわらず,クリップによる予防的縫縮を導入した.側視鏡をそのまま使用し,切除面の肛門側をクリップ2~3個にて縫縮した後,膵管ステント,術者判断で胆管ステントを留置した.術中,術後の出血について検討した.
【結果】腫瘍の長径はφ14.7mm (7-51mm).平均検査時間は75分.病理結果は腺腫19例,過形成2例,粘膜内癌3例.短期偶発症は11例(45.8%;術後出血,膵炎,穿孔,胆嚢炎)であった.術後出血は6例(24.0%),輸血は1例のみ.術中出血に対し止血を要した症例は11例(45.8%).術中出血例の平均治療時間(99.3分)は,出血のない症例(55.5分)に比べ有意に治療時間が長かった.術中/術後出血が見られた15例では,出血点が胆膵管開口部の肛門側に位置していたのが12例,口側が2例で,肛門側からの出血が大半を占めていた.クリップ縫縮導入により,術後出血は5/15(33.3%)から1/9(12.5%)と減少する傾向がみられた.
【結果】EP後の出血のマネージメントは重要である.出血部位の検討から,EP後の予防的クリップによる肛門側の縫縮は後出血の軽減に有用である可能性が示唆された.
索引用語 乳頭部腺腫, 内視鏡的乳頭切除