セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

EUS-FNA2

タイトル 内P-603:

EUS-FNABで診断し得た膵尾部原発mixed acinar-endocrine carcinomaの1例

演者 家本 孝雄(北播磨総合医療センター・消化器内科)
共同演者 沢 秀博(北播磨総合医療センター・外科), 山田 恭孝(北播磨総合医療センター・消化器内科), 境 秀樹(北播磨総合医療センター・消化器内科), 林 宏樹(北播磨総合医療センター・消化器内科), 田中 克英(北播磨総合医療センター・消化器内科), 堀 順子(北播磨総合医療センター・消化器内科), 佐貫 毅(北播磨総合医療センター・消化器内科), 黒田 大介(北播磨総合医療センター・外科), 山崎 隆(神戸大大学院・病理学), 伊藤 智雄(神戸大大学院・病理学)
抄録 膵癌取扱規約では外分泌腫瘍と内分泌腫瘍が混在あるいは併存してみられるものを併存腫瘍と定義しており,mixed acinar-endocrine carcinomaの報告は稀である.我々は,超音波内視鏡下穿刺吸引針生検(EUS-FNA)で術前診断し得た膵尾部原発mixed acinar-endocrine carcinomaの1例を経験したため,若干の考察を加えて報告する.症例は70歳代の男性である.陳旧性心筋梗塞,Leriche症候群に対して当院に通院中であった.腹部造影CTで膵尾部に径18mmの腫瘤を指摘され当科に紹介となった.腹部MRIでは膵尾部にT1WIで低信号,T2WIで高信号を呈する腫瘤を認めた.ERCPで主膵管に狭窄や途絶は認めず,ENPD留置下での膵液細胞診はclassIIであった.EUSで膵尾部に内部均一な低エコー腫瘤を認め,25G針で3回穿刺し吸引針生検を施行した.検体には腺房様構造を認め,一方で免疫染色ではCD56陰性,synaptophysin陽性,chromograninA陽性,Ki67陽性細胞5%程度,PAS陽性であったことからmixed acinar-endocrine carcinomaを疑い,膵体尾部切除術を施行した.切除標本で膵尾部の充実性腫瘍は,組織学的には腺房様細胞腫瘍と内分泌細胞様腫瘍細胞の二相性を示し,免疫染色は術前診断と同様の所見であった.腺房細胞成分,内分泌細胞成分ともに30%以上でありmixed acinar-endocrine carcinoma と確定診断した.近年,本邦においても膵充実性腫瘍に対するEUS-FNABによる組織学的診断が普及しているが,検索した限り術前診断し得たmixed acinar-endocrine carcinomaの症例は自験例以外に1例のみであった.自験例は幽門側胃切除後であり,膵尾部腫瘤の描出および穿刺に難渋したが,25 G針で十分な組織を採取し得た.病変のサイズや部位で正診率は左右される可能性があるが,正確な術前診断を行うために EUS-FNAB が有用であると考えられた.
索引用語 mixed acinar-endocrine carcinoma, EUS-FNAB