セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

EUS-FNA2

タイトル 内P-604:

EUS-FNAが診断・治療方針決定に有用であったdiffuse large B cell lymphoma 重複癌の2例

演者 井上 匡央(岐阜県立多治見病院・消化器内科)
共同演者 奥村 文浩(岐阜県立多治見病院・消化器内科), 鈴木 雄太(岐阜県立多治見病院・消化器内科), 市川 紘(岐阜県立多治見病院・消化器内科), 福定 繁紀(岐阜県立多治見病院・消化器内科), 加地 謙太(岐阜県立多治見病院・消化器内科), 安部 快紀(岐阜県立多治見病院・消化器内科), 西江 裕忠(岐阜県立多治見病院・消化器内科), 西 祐二(岐阜県立多治見病院・消化器内科), 水島 隆史(岐阜県立多治見病院・消化器内科), 佐野 仁(岐阜県立多治見病院・消化器内科)
抄録 【症例1】77歳,女性.腹部膨満感にて近医受診,腹部単純CTにて腹腔内腫瘤を疑われ,当院紹介受診となった.造影CTでは上腸間膜動脈周囲から空腸動脈周囲に多数の腫大したリンパ節の集簇を認め,またS状結腸には壁肥厚を認めた.下部消化管内視鏡検査ではS状結腸に約1/3周性の2型進行大腸癌を認めた.S状結腸周囲のリンパ節腫大は乏しく,腸間膜リンパ節腫大は転移としては非典型的と考え,確定診断目的に腸間膜リンパ節よりEUS-FNAを施行した.組織結果は異型リンパ球の増生を認めDLBCLであった.S状結腸癌切除を先行,最終病理診断はpT2,pN0,M0 Stage Iであった.術後DLBCLに対してR-CHOPを施行,CRとなり無再発生存中である.【症例2】88歳,男性.DLBCLにて化学療法施行,CRを長期間維持していたが,初回治療から10年後,血液検査にてIL-2R 2920 U/mlと上昇を認めた.造影CTでは左後腹膜に約7cm大の不均一な軟部腫瘤,肝門部にも約8cm大の腫瘤を認め,その他腹腔内に多数の腫大リンパ節を認めた.DLBCLの再発と考えたが,肝門部と後腹膜の腫瘤はやや内部の吸収値が異なっており,他疾患の合併も否定できないと考えEUS-FNAを施行した.組織結果は後腹膜腫瘤はDLBCLであったが,肝門部腫瘤は胞体が淡明なN/C比の高い腫瘍細胞を認め,免疫染色でAFP陽性,肝細胞癌であった.88歳と高齢でDLBCLの治療のみを希望されたが,徐々に全身状態悪化し約5カ月後逝去された.【考察】悪性リンパ腫の中でもNHL,特にB細胞性リンパ腫はその発症前後に他の悪性腫瘍を合併することが多いとされる.一方で腹腔内リンパ節発症の悪性リンパ腫と,重複する腹腔内原発悪性腫瘍のリンパ節転移との鑑別はしばしば困難である.自験例ではEUS-FNAが診断,治療方針決定に有用であった.画像上,リンパ節転移,悪性リンパ腫と断定するには根拠が乏しい場合,その鑑別にEUS-FNAは試みるべき手技と考えられた.
索引用語 EUS-FNA, 悪性リンパ腫