セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

EUS-FNA2

タイトル 内P-605:

副腎腫瘤に対するEUS-FNAによる病理組織診断

演者 上村 真也(岐阜大附属病院・消化器内科)
共同演者 安田 一朗(岐阜大附属病院・消化器内科), 馬淵 正敏(岐阜大附属病院・消化器内科), 土井 晋平(岐阜大附属病院・消化器内科), 岩下 拓司(岐阜大附属病院・消化器内科), 廣瀬 善信(岐阜大附属病院・病理部), 高見 剛(岐阜大・免疫病理学), 森脇 久隆(岐阜大附属病院・消化器内科)
抄録 CTで偶然発見される副腎腫瘤(incidentaloma)は意外と多く,その頻度は多い報告では約5%に達する.incidentalomaの多くは良性の腺腫であるが,他臓器に腫瘍を認める場合には50%が転移とされ,副腎原発のリンパ腫等もみられることから鑑別診断が問題となることも多い.特にリンパ腫についてはその病理組織学的分類が治療方針決定に必須であり,病理組織診断に耐えうる検体採取が望まれる.これまでにわれわれは19G針を用いたEUS-FNAのリンパ腫診断における有用性を報告してきており(Endoscopy 2006,AJG 2012),また最近では左副腎だけでなく右副腎もほとんどの症例でEUSによって描出でき,FNAも可能であることを報告した(Endoscopy 2013).【目的】副腎腫瘍に対する19G針を用いたEUS-FNAの有用性を検討した.【方法】2004年4月から2013年3月までの当施設のEUSデータベースから副腎病変に対してEUS-FNAを施行した症例を抽出し,その背景因子,EUS-FNA診断,偶発症,最終診断をretrospectiveに調査した.【結果】対象症例は36例.男性27例,女性9例,年齢42~81歳(中央値65歳).発見の契機は,肺癌患者の病期診断(縦隔リンパ節転移評価)の際に偶然指摘15例,他臓器腫瘍(肺癌,リンパ腫,膵癌,子宮頸癌)精査中の画像診断で指摘15例,悪性腫瘍合併なく偶然発見6例.左副腎病変21例,右副腎病変3例,両側副腎病変7例.全ての病変がEUSによって描出可能.病変の最大径中央値22mm(7~106mm).穿刺針は全例19G針を使用し,左副腎病変は経胃的,右副腎病変は経十二指腸的に穿刺.全例で検体採取可能であり,病理組織診断の結果は肺癌転移8例(22%)(小細胞癌2例,非小細胞癌6例),悪性リンパ腫(DLBCL)8例(22%),副腎腺腫18例(50%),骨髄脂肪腫2例(6%)であった.手技関連偶発症は認めなかった.【結論】19G針を用いた副腎腫瘤に対するEUS-FNAは左右にかかわらず施行可能であり,安全かつ高い確率で病理組織診断が可能である.
索引用語 副腎, EUS-FNA