セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

EUSガイド下ドレナージ

タイトル 内P-617:

健診の胸部X線異常を契機に発見された巨大な縦隔内膵仮性嚢胞に対して経胃的EUSガイド下ドレナージが奏功した1例

演者 小林 克誠(筑波大附属病院・消化器内科)
共同演者 石毛 和紀(筑波大附属病院・消化器内科), 今西 真実子(筑波大附属病院・消化器内科), 浜野 由花子(筑波大附属病院・消化器内科), 小林 真理子(筑波大附属病院・消化器内科), 圷 大輔(筑波大附属病院・消化器内科), 菅谷 明徳(筑波大附属病院・消化器内科), 越智 大介(筑波大附属病院・消化器内科), 遠藤 慎治(筑波大附属病院・消化器内科), 福田 邦明(筑波大附属病院・消化器内科), 安部井 誠人(筑波大附属病院・消化器内科), 溝上 裕士(筑波大附属病院・消化器内科), 兵頭 一之介(筑波大附属病院・消化器内科)
抄録 【症例】50歳男性.若い頃から連日アルコール100g以上の大酒家.2007年,アルコール性重症急性膵炎にて入院.その後,膵仮性嚢胞破裂・汎発性腹膜炎を発症し,壊死組織除去術+洗浄ドレナージ術を施行された.2008年4月に膵尾部の嚢胞は3cmだったが,以後は通院を自己中断し,連日の飲酒を継続していた.その間,時折食事の際につかえ感を自覚していた.2012年7月,健診の胸部X線異常を契機に,膵尾部から縦隔へ連続する巨大な嚢胞性病変を指摘され,MRCPで膵尾部の主膵管と交通をもつtypeIIIの膵仮性嚢胞と診断した.経乳頭的ドレナージを試みるも,主膵管の狭窄・蛇行が強く断念.嚢胞の胃小弯側との癒着を期待し,経胃的EUSガイド下膵仮性嚢胞ドレナージを施行,内瘻および外瘻チューブを嚢胞内に留置した.その後著明に嚢胞は縮小し,チューブ抜去後も再発なく外来で経過観察中である.【考察】縦隔内膵仮性嚢胞は,膵管破裂により後腹膜へ漏出した膵液が仮性嚢胞を形成しつつ,食道裂孔や大動脈裂孔を介して縦隔まで達することが成因とされる.膵性胸水の発生は慢性膵炎の約1%との報告があるが,縦隔内膵仮性嚢胞は更に稀である.過去の報告では全例が男性,多量飲酒者で,本例もそれに合致した.これまでほとんどの症例で外科的加療が選択され,経胃的EUSガイド下ドレナージは少数の学会報告のみに過ぎない.typeIIIの仮性嚢胞には経乳頭的ドレナージが有用と考えられるが,本例では膵管の狭窄・蛇行により断念し,経胃的EUSガイド下ドレナージで合併症なく嚢胞の縮小を得た.現在,膵仮性嚢胞に対する経胃的EUSガイド下ドレナージは一般的に普及しつつあるものの,縦隔まで達する巨大な膵仮性嚢胞の報告は少なく,文献的考察を加えて報告する.ドレナージ後の長期的成績は不明であり,慎重な経過観察を行いたい.
索引用語 膵仮性嚢胞, 超音波内視鏡ガイド下ドレナージ