セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

肝・胆道その他2

タイトル 内P-629:

十二指腸潰瘍に合併し,経乳頭的内視鏡治療により瘻孔の縮小を認めた総胆管十二指腸瘻の一例

演者 門 輝(さいたま赤十字病院・消化器内科)
共同演者 大島 忠(さいたま赤十字病院・消化器内科), 大津 威一郎(さいたま赤十字病院・消化器内科), 水口 靖文(さいたま赤十字病院・消化器内科), 土井 浩達(さいたま赤十字病院・消化器内科), 熊谷 純一郎(さいたま赤十字病院・消化器内科), 高橋 正憲(さいたま赤十字病院・消化器内科), 鎮西 亮(さいたま赤十字病院・消化器内科), 塩屋 雄史(さいたま赤十字病院・消化器内科), 笹島 圭太(さいたま赤十字病院・消化器内科), 高屋 俊樹(さいたま赤十字病院・消化器内科), 甲嶋 洋平(さいたま赤十字病院・消化器内科)
抄録 【症例】70代男性【主訴】黒色便【現病歴】5日前より食後の嘔気を認めた.入院当日の朝に黒色便を認めた.11時頃に意識消失で倒れ,当院に救急搬送された.【既往】脳梗塞【現症】血圧89/60mmHg, 眼瞼結膜に貧血あり, 腹部に圧痛なし, 直腸診で黒色便を認めた.【血液検査】WBC 13320/μl, Hb 5.0g/dl, BUN 66mg/dl, Cr 2.1mg/dl, GOT 78IU/l, GPT 37IU/l, ALP 248IU/l, γGTP 120IU/l【画像検査】腹部造影CT検査で,胆道拡張,腹腔内遊離ガス及び腹水はなく,消化管に明らかな造影剤の漏出はなかった.【経過】上部消化管内視鏡検査で球部に40mm大の十二指腸潰瘍(A1 stage)を認めたが,活動性の出血はなかった.当初,保存療法としたが,4日目に血圧が低下し,内視鏡で同潰瘍に出血後の太い露出血管があり,腹部造影CT検査で胃十二指腸動脈の分枝が潰瘍に露出していた.動脈塞栓術(TAE)を施行し,翌日の内視鏡で止血を確認した.潰瘍はA2stageまで改善したが,23日目に血液検査で胆道系酵素の上昇を認めた.26日目のCT検査で,IVC血栓及び肝内のpneumobiliaを認めた.前者にはフィルター留置とし,抗凝固療法とした.後者にはERCPを行い,総胆管と十二指腸に交通を認め,TAEによる胆管壁の虚血及び十二指腸潰瘍に伴う瘻孔形成と考えられた.胆管の減圧目的でEST及びENBD留置を行ったが,依然,瘻孔を認めた.EBSに変更し,外来でステント交換を行い,瘻孔の縮小を認めた.現在,胆管炎等の増悪所見はなく,経過良好である.【考察】総胆管十二指腸瘻の多くが胆道結石に合併し,十二指腸潰瘍との合併例は少数である.治療は外科的切除が中心だが,経乳頭的内視鏡治療で治療した報告例がある.我々も内視鏡的ステント留置により瘻孔の縮小を経験した.外科的切除以外に経乳頭的内視鏡治療により治療しうる可能性があり,文献的考察を交えて報告する.
索引用語 総胆管十二指腸瘻, 十二指腸潰瘍