セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

肝・胆道その他2

タイトル 内P-630:

当院における胆道出血をきたした6例の検討

演者 小川 和昭(大同病院・消化器内科)
共同演者 野々垣 浩二(大同病院・消化器内科), 榊原 聡介(大同病院・消化器内科), 藤城 卓也(大同病院・消化器内科), 印牧 直人(大同病院・消化器内科)
抄録 【目的】胆道出血は外傷,炎症,胆石,腫瘍,血管異常,医原性などの原因で起こり腹痛,消化管出血,黄疸を起こす稀な疾患で,その診断に苦慮し治療が遅れることもある.今回,当院における胆道出血症例について検討した.【対象と方法】対象は,2010年1月から2012年12月までに当院で経験した胆道出血6例.男性5例,女性1例で,平均年齢は69±13歳(51‐88歳).胆道出血をきたした原疾患は,肝細胞癌1例,転移性肝腫瘍3例,胆嚢出血1例,医原性(肝生検後)1例.【結果】診断時の臨床症状は,腹痛5例,発熱1例,黄疸3例で認め,全例血圧は保たれておりショックバイタルを示す症例は認めなかった.診断時の血液検査所見は,T-Bil:3.4±2.3(0.7‐7.2),AST:185±103(54‐387),ALT:228±216(70‐704),ALP:1076±568(330‐1931),WBC:9733±5053(3500‐18400),Hb:11.6±1.2(9.4‐13.5),CRP:6.0±6.7(0.5‐10.3)であった.治療は全例で内視鏡的に胆管ドレナージチューブ(ENBD)を留置した.受診日から診断・治療までに要した日数は1.5±1.4(0‐4)日であった.Hbの低下は2.9±1.3(1.3‐5.4)で,1例のみ輸血を行った.治療後のT-Bilは1.4±0.9(0.4‐3.0)と全例で改善傾向となり,腹痛を認めた5例も全例で改善した.5例は止血しENBD抜去とした.再出血した症例は1例認めたが保存的に軽快.原因が腫瘍のうち1例は生存中であるが,3例は原疾患の悪化により死亡し,胆道出血後の予後は103±95(9‐233)日であった.【考察】胆道出血は診断に苦慮することが多いが,当院では胆管炎症状から迅速にERCPを行うことにより,診断と治療が速やかに行うことが可能であった.また,ENBD留置による直接的な止血効果はないものの医原性でなければショックバイタルに至ることはなく,胆道内圧を減圧することにより胆管炎症状を緩和することが可能であり有用な治療法である.【結語】当院における胆道出血6例を検討した.ENBD留置は胆道出血に対して有用な治療法の一つであると考えられる.
索引用語 胆道出血, ENBD