抄録 |
症例は77歳女性,胆嚢炎を発症し腹腔鏡下胆嚢摘出術(LSC)を施行,病理検査結果においてss胆嚢癌と診断されたためLSCの約2週間後に肝床切除術(約1.5cmの肝実質切除)+十二指腸間膜郭清(D2郭清)が追加手術として施行された. 術後仮性動脈瘤破裂による腹腔内出血が2度認められ,いずれもコイル塞栓術によって止血を得た.また同時期に胆汁漏も認められ胆管ステントを留置,留置後に肝膿瘍が認められ経皮的ドレナージ・抗生剤投与・胆管ステントの長さの調節などを繰り返していたが治癒が得られなかった.下部胆管は手術操作およびその後の炎症などによって狭窄を来たしており,狭窄の上流には結石が認められた.下部胆管の狭窄および総胆管結石による胆汁鬱滞のために肝膿瘍が消失しないものと考えられ,下部胆管の拡張および採石を目的にmulti-stentingを用いた拡張術を施行,胆管の拡張を得たのちに採石術を施行した.採石後も肝膿瘍に対して保存的加療を継続し,約3ヶ月後に肝膿瘍の治癒を確認できた. このたび術後の炎症性胆管狭窄に対してmulti-stentingを用いることで胆管を拡張させ,続いての採石術に成功した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する. |