セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

肝・胆道その他2

タイトル 内P-633:

EBUS(endobronchial ultrasound)systemを使用して拡大肝左葉切除後胆汁瘻を内瘻化した一例

演者 今村 秀道(太田西ノ内病院・消化器科)
共同演者 野口 典男(太田西ノ内病院・外科), 鈴木 聡(太田西ノ内病院・消化器科), 橋本 健明(太田西ノ内病院・消化器科), 草野 昌樹(太田西ノ内病院・消化器科), 間 浩正(太田西ノ内病院・消化器科), 迎 慎二(太田西ノ内病院・消化器科)
抄録 症例は,70歳代男性.腹部不快感を主訴に精査され,MRCPで左肝管起始部の狭窄と上流胆管の拡張が認められた.ERCP(経口胆道鏡)では左肝管起始部はpin-hole状で,周囲粘膜は白色,線維性瘢痕様であった.生検は施行不可であり,画像や経過から良性狭窄が疑われたが,悪性を完全に否定できないため拡大肝左葉切除が施行された.病理組織は,胆管周囲の線維化のみで,腫瘍性変化は明らかでなかった.術後,ドレーンから出血がみられ,血管造影で右肝動脈からの出血が認められた.ステントグラフトを留置して止血後,腸間膜動静脈の吻合術が施行された.また,ドレーンからの胆汁量が減少せず,瘻孔造影では後区域枝が描出された(:後区域枝と拳上空腸の吻合なし).術後胆汁瘻に対する再手術は困難と考えられ,後区域枝と拳上空腸の内瘻化が予定された.手順は,1. 後区域枝にPTBDチューブを留置,2. 超音波ガイド下に拳上空腸を穿刺し瘻孔を作成,3. 瘻孔を段階的に拡張し,先端部外径6.9mm,有効長600mmのEBUS(endobronchial ultrasound)system用のスコープを胆管吻合部まで挿入,4. パワードプラを併用した超音波観察下に瘻孔内の後区域枝開口部近傍に留置された胆道拡張用バルーンを22G針で穿刺し,バルーン内に0.018inchのガイドワイヤー(GW)を送り込む,5. GWを体外に引き抜いたのち,ダイレーターで穿刺部を拡張,6. PTBDルートから挿入した細径スネアでGWを把持して体外に引き抜く,7. 10Fr. 内瘻化チューブに側孔を作成し,後区域枝と拳上空腸を内瘻化.術後および腸間膜動静脈吻合術後で側副血行路の存在が懸念される本症例において,超音波観察下に穿刺を行うことで手技を安全に施行可能であった.また,EBUS systemを用いた内瘻化の報告はほとんどなく,術後胆汁瘻に対する有用な治療法と思われたため報告する.
索引用語 EBUS, 内瘻化