セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

肝・胆道その他3

タイトル 内P-634:

急性膵炎を契機に発見されたCholedochoceleの一例

演者 宮本 和幸(戸塚共立第2病院・外科)
共同演者 阿部 裕(戸塚共立第2病院・外科), 飯島 忠(戸塚共立第2病院・外科), 本田 実(戸塚共立第2病院・放射線科), 新井 一成(昭和大横浜市北部病院・外科)
抄録 【はじめに】Choledochoceleは先天性胆道拡張症の中でも極めて稀であり十二指腸壁内の総胆管終末部の嚢胞状拡張を特徴とする. 共通管を形成する例では膵胆管合流異常と同様に胆道癌発生を含めた注意が必要である. 今回, 急性膵炎を契機に発見されたCholedochocele(共通管型)に対し内視鏡的括約筋切除術 (EST)が奏功した一例を経験したので報告する. 【症例】61歳, 男性. 【主訴】心窩部痛. 【既往歴】高血圧. 【生活歴】機会飲酒. 【現病歴】就寝中に突然の激しい心窩部痛, 背部痛が出現し当院へ救急搬送された. 【経過】腹部~骨盤造影CTで十二指腸下行脚に円形の低吸収域を認めた. 総胆管・膵管の拡張は認めず結石を疑う陰影像も認めなかった. 血液生化学検査では肝機能障害と著明な膵酵素の上昇を認め急性膵炎と診断した. 第2病日に直接ビリルビン優位の上昇が出現し内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)を施行した. 内視鏡所見ではVater乳頭口側に径15mmの嚢胞状拡張を認め, 開口部から造影したところ総胆管・膵管が伴に造影されCholedochocele(共通管拡張型)と診断した. あきらかな陰影欠損像は認めなかった. 後日, 嚢胞のESTを施行し現在外来にて経過観察中である. 【考察】Choledochoceleの治療では胆汁・膵液うっ滞の解除を目的に乳頭形成術が多くの症例で施行されてきた. 近年はより低侵襲なEST施行例が増加してきている. しかし, EST後も発癌の可能性は否定できないことから厳重な経過観察が必要と考えた. 本症例はCholedochocele(共通管拡張型)であり長期間の膵液・胆汁相互逆流に曝露していたことが予想される. 今後は予防的な胆嚢摘出術も選択肢として考えられた.
索引用語 Choledochocele, 内視鏡的括約筋切除術