セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

肝・胆道その他3

タイトル 内P-635:

石灰乳胆汁による閉塞性黄疸の一例

演者 宇田 周司(公立福生病院)
共同演者 古川 秋生(公立福生病院), 長谷川 小百合(公立福生病院), 仲丸 誠(公立福生病院), 浅井 聖子(公立福生病院), 五月女 恵一(公立福生病院), 宮崎 洋史(公立福生病院), 諸角 強英(公立福生病院)
抄録 【緒言】石灰乳胆汁は胆嚢管の閉塞により胆嚢内に炭酸カルシウムを含む胆汁が形成される稀な病態であり,閉塞性黄疸を合併する事は少ない.今回,我々は胆嚢内に貯留していた石灰乳胆汁が総胆管内に流出し,閉塞性黄疸を来した症例に対して内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)および腹腔鏡下胆嚢摘出術で治療した1例を経験したので報告する.【症例】64歳,男性【主訴】上腹部痛,黄疸【現病歴】2012年1月下旬,上腹部痛と皮膚黄染を自覚し近医を受診し,閉塞性黄疸の疑いで精査目的に当院紹介受診となった.来院時,眼球結膜および全身に著明な黄染を認めた.血液検査所見でWBC11100,CRP12.2と炎症反応の上昇とT-Bil16.5,D-Bil12.6,AST286,ALT294,ALP1507,γGTP1592と肝胆道系酵素の著明な上昇を認めた.腹部単純X線検査で胆嚢および総胆管と思われる部位に淡い石灰化像を認めた.腹部CT検査で胆嚢内に鏡面像を呈する高吸収物質の貯留と下部胆管に鋳型状の高吸収域を認め,肝内胆管は著明に拡張していた.以上より石灰乳胆汁による閉塞性黄疸,胆管炎と診断し内視鏡的逆行性胆管造影を施行した.胆管造影で下部胆管に陰影欠損を認め,ESTを施行すると黄白色泥状の胆汁の排出を認めた.バスケット,バルーンカテーテルで排石し,経鼻胆道ドレナージチューブ(ENBD)を留置した.EST後は炎症反応,肝胆道系酵素の改善がみられ,ENBD造影検査で総胆管内に遺残ない事を確認した後,待機的に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.摘出標本で胆嚢底部,体部には炭酸カルシウム98%以上を含有する石灰乳胆汁の塊を認め,頚部は胆嚢腺筋腫症で狭窄していた.病理学的には非特異的な慢性胆嚢炎であり悪性病変は認めなかった.術後経過は良好で術後3日目に退院となった.石灰乳胆汁による閉塞性黄疸の報告は非常に稀であり,本邦報告例を集計し,臨床学的検討を加え報告する.
索引用語 石灰乳胆汁, 閉塞性黄疸