セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

その他

タイトル 内P-653:

当院での早期消化管癌に対するアルゴンプラズマ法の検討

演者 島田 友香里(西神戸医療センター・消化器科)
共同演者 隅野 有香(西神戸医療センター・消化器科), 吉田 裕幸(西神戸医療センター・消化器科), 村上 坤太郎(西神戸医療センター・消化器科), 荒木 理(西神戸医療センター・消化器科), 津田 朋広(西神戸医療センター・消化器科), 佐々木 綾香(西神戸医療センター・消化器科), 安達 神奈(西神戸医療センター・消化器科), 林 幹人(西神戸医療センター・消化器科), 井谷 智尚(西神戸医療センター・消化器科), 三村 純(西神戸医療センター・消化器科)
抄録 【はじめに】アルゴンプラズマ凝固法(以下APC法)は,凝固深度を一定に保ちながら短時間で広い範囲を焼灼できるという特性を生かし,内視鏡的切除術(以下ER)の困難な早期消化管癌症例に対する治療法の一つとして知られている.今回我々は,当院で施行した早期胃癌および十二指腸癌に対してAPC法を施行した症例を検討し報告する.【対象】男性1例,女性3例の計4例.治療開始時の平均年齢73.7歳(61~84歳).病変は胃癌3例,十二指腸癌1例で,平均腫瘍径は20mm(15~35mm).病変の組織型は高分化型腺癌2例,中分化型腺癌1例,未分化癌1例であった.高齢でADLが低いということ以外の基礎疾患として,食道・胃静脈瘤合併Child分類Aの肝硬変,腹水合併Child分類Bの肝硬変,慢性腎不全(透析未施行)が挙げられた.【結果】全例で使用した高周波発生装置はERBE社製ICC200もしくはVIO300Dであった.ERを施行しなかった理由としては,穿孔時に外科的処置に不耐と判断された,ERを試みるも粘膜下層挙上不良であったため断念し追加治療としてAPC法を患者が希望した,などが挙げられた.病変をコントロールするまでに3症例で複数回の焼灼を必要とした.治療に伴う合併症は認めなかった.早期胃癌の1例のみAPC法で病変がコントロールできているが,他の3例はいずれも再発した.再発した早期胃癌2例のうち1例は初回APC法から22ヵ月後に外科的切除を追加したが術後27ヵ月後に癌性腹膜炎で再発し現在無治療経過観察中である.もう1例は初回APC法の75ヵ月後に癌性腹膜炎で再発し死亡した.十二指腸癌は近日中に再度APC法を追加する予定である.【考察】APC法のみで病変を完全に治癒に持ち込むことは困難ではあるが,姑息的な治療法としては比較的良好な成績であった.【結語】早期消化管癌に対するAPC法は,症例を適切に選択した上で癌治療の一つの選択肢として考慮してもよい治療方法であると考える.
索引用語 早期消化管癌, アルゴンプラズマ焼灼法