セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

その他

タイトル 内P-654:

義歯誤嚥症例における内視鏡的処置不成功例から見た外科手術の適応

演者 松山 仁(八尾市立病院・外科)
共同演者 上田 高志(八尾市立病院・消化器内科), 徳岡 優佳(八尾市立病院・外科), 井出 義人(八尾市立病院・外科), 橋本 和彦(八尾市立病院・外科), 横山 茂和(八尾市立病院・外科), 福島 幸男(八尾市立病院・外科), 兒玉 憲(八尾市立病院・外科), 佐々木 洋(八尾市立病院・外科)
抄録 【目的】異物誤嚥は日常診療において比較的頻度が高い病態である.内視鏡的異物摘出術の適応を検討し,偶発症も考慮して治療が行われている.中でも義歯誤嚥はその多彩な形状や有鈎性部分の存在など,内視鏡的摘出術では不成功となり,外科手術を要する症例が存在する.今回我々は,義歯誤嚥症例における内視鏡的処置の治療成績をretrospectiveに検討し,外科手術の適応について考察した.【方法】2008年1月から2012年12月の5年間に当院で内視鏡的処置を試みた義歯誤嚥症例(21例)を対象とした.【成績】年齢中央値は75歳(29-83),男女比7:14,併存疾患として脳・精神疾患を10例(47.6%),アルコール飲酒状態を5例(23.8%)に認めた.義歯の最大長径中央値は40mm(15-65)であった.全例で内視鏡的処置を施行し,17例(81.0%)で内視鏡的異物摘出術で治療可能であったが,そのうち1例で術後の縦隔気腫を認めた.また,4例(19.0%)で外科手術を要した.手術症例の義歯最大長径は40,40,45,65mmであった.手術に至った理由として咽頭部陥頓1例,有鈎性部分による損傷懸念3例であった.咽頭部陥頓例は耳鼻科で全麻下直視下に摘出した.他3例は内視鏡にて胃内に義歯を留置し,上腹部に3-5cmの小開腹,胃小切開を加え,透視下に鉗子で義歯を摘出した.平均手術時間は50分(37-65),手術にまつわる合併症は認めず,全例軽快退院された.【結論】義歯誤嚥はその形状から,内視鏡的異物摘出では不成功に終わる症例がある.最大長径が大きくても直線状であり,有鈎部分の軸が一致していれば,内視鏡的処置が有効である可能性がある.しかし,咽頭部への陥頓が懸念される形状や,有鈎部分の軸が一致しない義歯の場合は,外科手術を念頭に置いて義歯を胃内に留置することを検討することが望ましい.
索引用語 義歯誤嚥, 手術