セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胆管癌治療2

タイトル 内P-669:

生体肝移植後胆管吻合部狭窄に対する治療の現状と課題

演者 階子 俊平(熊本大大学院・消化器内科学)
共同演者 堤 英治(熊本大大学院・消化器内科学), 石井 将太郎(熊本大大学院・消化器内科学), 尾崎 徹(熊本大大学院・消化器内科学), 鴻江 勇和(熊本大大学院・消化器内科学), 庄野 孝(熊本大大学院・消化器内科学), 直江 秀昭(熊本大大学院・消化器内科学), 櫻井 宏一(熊本大大学院・消化器内科学), 田中 基彦(熊本大大学院・消化器内科学), 阿曽沼 克弘(熊本大大学院・移植外科学), 猪股 裕紀洋(熊本大大学院・移植外科学), 佐々木 裕(熊本大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】当院では肝移植時の胆管吻合法として胆管胆管吻合を積極的に行っているが, 術後吻合部狭窄を認めることがある. 今回, このような狭窄に対する治療の現状を検討した. 【方法】1998年から2012年12月までに施行した生体肝移植357例中, 胆管胆管吻合を施行したのは248例であり, そのうち吻合部狭窄を認めた44例(17.7%)を対象とした. 初回治療として43例は内視鏡的治療, 1例はPTBDを選択し, 治療後観察期間中央値は1131日(29-2883)であった. 検討項目は, 1) 患者背景, 2) 移植から初回内視鏡治療までの期間, 3) 内視鏡治療成功率, 4) 初回留置ステント径, 5) 初回治療時偶発症, 6) ドレナージ後の経過, とした. 【成績】1) 男女比28:16, 移植時年齢中央値53歳(13-68), グラフト肝は, 右葉, 左葉, 右後区域, 左外側区域, 全肝(ドミノ)が各29, 8, 3, 1, 3例. 胆管吻合数は1, 2, 3本が各33, 10, 1例. 2) 中央値で160.5日(83-2088). 3) 初回胆管挿管率 88%(最終98%), 初回目的胆管ドレナージ率 51%(最終86%)であり, ドレナージまでに要した治療回数は平均1.8回であった. ドレナージ不成功6例中2例は磁石吻合, 1例は胆管空腸吻合術を施行し, 3例は未処置で経過観察を行った. 4) 5, 6, 7, 8.5Frが各7, 3, 25, 2例. 5) 軽症膵炎を3例(7%)に認めた. 6) 内視鏡治療はtotalで1-14回(中央値3回)要し, 最大ステント留置径は5, 6, 7, 8.5, 10Frが各3, 2, 15, 18, 1例であり, 11例(25%)はステントフリーが可能であった. 初回ドレナージ後にPTBDを要したのは4例, 再移植 3例, 胆管空腸吻合術 2例であった. 【結論】胆管吻合部狭窄に対する初回目的胆管ドレナージ率は51%と低率であり, 胆管狭窄部の突破が課題である. 最終目的胆管ドレナージ率は86%であるが, 複数回のステント交換を要する例も多く, ステント留置径, 期間, 方法, 外科的治療のタイミングに関しては検討を要する.
索引用語 肝移植, 胆管狭窄