セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胆管癌治療3・十二指腸ステント

タイトル 内P-676:

胆膵領域の狭窄突破困難例におけるステントリトリーバーの安全性と有用性

演者 杉山 晴俊(千葉大・消化器内科)
共同演者 露口 利夫(千葉大・消化器内科), 西川 貴雄(千葉大・消化器内科), 酒井 裕司(千葉大・消化器内科), 宮崎 勝(千葉大・臓器制御外科), 横須賀 收(千葉大・消化器内科)
抄録 【目的】胆膵領域のステンティングにおいて,ステントを内視鏡的に回収する器具としてステントリトリーバーが使用されてきた.その他の使用目的として,管腔の拡張効果も挙げられている.我々は,肝門部の胆道狭窄やメタリックステントのメッシュ間隙の突破に際し,ダイレーターや拡張バルーンで処置困難な症例に対し積極的にリトリーバーを使用してきたので,実際の手技を動画で供覧しつつ安全性と有用性を報告する.その他の用途についても,可能な限り動画で供覧したい.【方法】対象は2011年8月から2013年3月までに,肝門部胆道狭窄を来して内視鏡的ドレナージを必要とした100症例.まずカテーテルとガイドワイヤーで狭窄を突破するが,ステント挿入困難例では7-10Frのダイレーターを,さらに必要に応じて拡張バルーンも併用.それでも困難な場合にはリトリーバーを使用した.目標とする枝へのステント留置をもって,成功とした.【成績】100症例のうち,ダイレーターによる処置を必要としたのは19例.うち9例では成功.失敗例10例に対しては全例リトリーバーを使用し,8例で成功した.安全性について,リトリーバー使用例(A群)10例と不使用例(B群)90例で分けて検討した.平均総処置時間はA群67.2±17.8分,B群34.5±14.5分と有意にA群で長く,処置後の疼痛の有無についてはA群で6例(60.0%)B群13例(14.4%)にみられ,有意にA群で多かった(p=0.03)が,胆管炎,膵炎,出血,穿孔の合併症についてはA群では1例の軽症胆管炎(10.0%)を認めたのみで,B群の15例(16.7%)と有意差はなかった.また,狭窄長の平均ではA群,B群で22mm,25mmと差がなかったが,左右肝管泣き別れの率でA群60.0%,B群25.6%(p=0.032)と有意差がみられた.【結論】ステントリトリーバーは,胆道狭窄突破困難例において,他の処置を試みたあとでもあり時間がかかりその後の疼痛も出現するものの,問題となるような合併症をおこすことなく治療を完遂できる可能性が示された.
索引用語 ERCP, 胆道狭窄