セッション情報 | ポスターセッション(消化器内視鏡学会)胆管癌治療3・十二指腸ステント |
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タイトル | 内P-677:膵癌による閉塞性黄疸に対する乳頭括約筋切開術未施行のカバー付金属ステント留置術の成績 |
演者 | 千品 寛和(近畿大・消化器内科) |
共同演者 | 門阪 薫平(近畿大・消化器内科), 田中 梨絵(近畿大・消化器内科), 大本 俊介(近畿大・消化器内科), 宮田 剛(近畿大・消化器内科), 鎌田 研(近畿大・消化器内科), 今井 元(近畿大・消化器内科), 坂本 洋城(近畿大・消化器内科), 北野 雅之(近畿大・消化器内科), 工藤 正俊(近畿大・消化器内科) |
抄録 | 【背景】膵癌による閉塞性黄疸に対してカバー付金属ステント(CSEMS)により長期の開存期間が得られる.CSEMS留置の際に膵炎防止目的の乳頭括約筋切開術(EST)を行うことが通例となっているが,膵癌は膵機能が低下しているため,膵炎の危険性は低いと考えられる. 今回,我々はEST未施行によるCSEMS留置の成績について検討した. 【方法】2011年8月から2012年9月までに当科にて加療した,手術適応のない悪性胆道狭窄の患者13例(男性9例,女性4例)を対象とした.EST未施行でCSEMSを留置し,術前,ERCP後の1時間後,2時間後,3時間後,24時間後の血清アミラーゼ(AMY)採血を行い,ERCP後膵炎の発症の有無について検討した.ERCP後膵炎の診断基準はCotton分類を使用した. 【結果】患者の平均年齢は65.6歳,原疾患は膵頭部癌9例,膵体部癌2例,膵鈎部癌2例,であった.使用したステントはpatial CSEMS 8例,full CSEMS 5例であった. AMYの平均値は術前68±34IU/dl,1時間後124±102IU/dl,2時間後143±119IU/dl,3時間後160±131IU/dl,24時間後135±111IU/dlであった.全例にERCP後膵炎や腹痛などの偶発症は認められなかった.金属ステント留置の手技成功例は100%であった.また,patial CSEMSとfull CSEMSとの間に手技成功率,ERCP後AMYに有意差を認めなかった. 【考察】今回,膵癌における閉塞性黄疸に対してEST未施行によるCSEMS留置の有用性と安全性を検討したが,ERCP膵炎などの偶発症を認めなかった.その理由として膵癌による膵外分泌機能低下が挙げられる.抗凝固薬内服中や基礎疾患による出血傾向の患者等において,本法は有用と考えられる.今回の研究は症例数が少なく偶然ERCP後膵炎が発症しなかった可能性があり,EST施行群と非施行群の2群におけるMS留置後のERCP後膵炎の発症率を比較検討する必要があると考えられる. |
索引用語 | 金属ステント, EST |