セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

急性胆嚢炎

タイトル 内P-683:

内視鏡的経乳頭的胆嚢ドレナージ術の長期予後

演者 下山 雄丞(岩手県立胆沢病院・消化器科)
共同演者 萱場 尚一(岩手県立胆沢病院・消化器科), 市川 遼(岩手県立胆沢病院・消化器科), 永井 博(岩手県立胆沢病院・消化器科), 黒羽 正剛(岩手県立胆沢病院・消化器科), 木村 智哉(岩手県立胆沢病院・消化器科), 石山 文威(岩手県立胆沢病院・消化器科), 矢口 圭(岩手県立胆沢病院・消化器科)
抄録 【目的】急性胆嚢炎においては迅速に手術や胆嚢ドレナージの適応を検討するよう,ガイドライン上推奨されている.ドレナージ法には簡便である経皮的手技が用いられる事が多いが,抗凝固薬内服・腹水貯留などにより施行不能な場合もあり,また近年の高齢化社会においては基礎疾患などにより外科手術困難例であることも少なくない.このような症例において,内視鏡的経乳頭的胆嚢ドレナージ術(ETGBD)の有用性が以前より報告されているが,今回当科における ETGBD の長期成績について検討を行った.
【対象】2007年9月より2012年10月まで当科にて ETGBD を施行後,そのまま経過観察となった男性12例,女性12例,計24例(平均年齢81.4歳).外科手術未施行の主な理由は,脳血管障害等による後遺症8例,高齢7例,耐術不能4例であった.胃瘻造設後が2例認められた.
【成績】内視鏡的胆道造影後に,7Fr 両端ピッグテールステントを胆嚢内に留置,7例が重症,17例が中等症急性胆嚢炎だったが,全例速やかに症状の改善を認めた.特に問題となる偶発症は認めなかった.5~42ヶ月の観察期間中(平均14.9ヶ月),21例に症状再燃を認めなかった.3例に胆嚢炎再発を認めたが,そのうち2例に対しては同様の処置を施行,1例は保存的に対処しいずれも軽快した.9例が平均12.2ヶ月後に死亡したが,全例が多病死だった.
【結論】ETGBD は煩雑なチューブ管理不要で ADL 低下も来たさず,症状再燃の長期予防が可能な低侵襲処置法と思われた.高齢者や耐術不能例などにおいては ETGBD のみで治療完了となる可能性が示唆され,今後は急性胆嚢炎に対する治療の有力な選択肢になりうると思われた.胆嚢管挿管の難易度が高い場合が多く,胆管ステント術に比べ時間がかかることが現時点での課題であり,器具の工夫・改良,手技の標準化などにて更に改善の余地があると思われた.
索引用語 急性胆嚢炎, 経乳頭的ドレナージ