セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胆管結石1

タイトル 内P-686:

胆嚢結石がある胆管結石は落下石といえるのか?~成分分析からの検討

演者 中村 琢也(水戸済生会総合病院・消化器内科)
共同演者 鹿志村 純也(水戸済生会総合病院・消化器内科), 大川原 健(水戸済生会総合病院・消化器内科), 渡辺 孝治(水戸済生会総合病院・消化器内科), 柏村 浩(水戸済生会総合病院・消化器内科), 浅野 幸治郎(水戸済生会総合病院・消化器内科), 仁平 武(水戸済生会総合病院・消化器内科)
抄録 【はじめに】胆管結石は胆嚢からの落下石と胆管原発のものに分類され,落下石は再発しにくいと考えられる.胆嚢結石がある胆管結石は落下石と推測されることが多いが,成分分析の結果を踏まえた検討は少ない.我々は胆管結石治療時に出来るだけ結石を回収して成分分析を行ってきたが,胆道系感染が契機となって生成されるビリルビンカルシウム石(ビ石)が67%と最も多く,明らかに胆嚢からの落下による非ビ石はコレステロール石が19%,炭酸カルシウムが10%と少ないこと,結石再発はビ石症例で有意に多く認められることを報告してきた.【目的】胆嚢結石も有する症例での胆管結石の由来を明らかにする.【方法】内視鏡的胆管結石治療症例で胆嚢結石も有する34例についてそれぞれの結石を赤外線フォトスペクトロメトリー法で分析した.【結果】胆管結石の分析ではビ石16例,非ビ石18例であった.非ビ石例(18例)は全て胆嚢結石も非ビ石であり落下石と判断された.しかし,ビ石例(16例)の胆嚢結石は13例が同じビ石であったが,3例は非ビ石で成分が異なった.ビ石例の1例で胆管結石再発,1例で胆管炎が発生した.【まとめ】胆嚢結石のある胆管結石は落下石と判断される可能性が高かったが,成分分析を行うと厳密に落下石とされるものは約半数に過ぎなかった.胆嚢結石も胆管結石もビ石である場合には胆管と胆嚢を併せた“胆道系“への感染を背景に各々の部位で結石が生成された可能性,すなわち胆管原発の結石である可能性がある.胆嚢結石を有していてもビ石の胆管結石症例は非ビ石で落下石と考えられる症例とは区別すべきであり,治療後の胆管炎や胆管結石再発の高危険群の可能性が高いと考えられる.ビ石と非ビ石ではその背景が大きく異なることから,胆管結石治療後の長期予後を考える上で結石成分に注目して検討することが重要である.
索引用語 胆管結石, 成分分析