セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胆管結石1

タイトル 内P-687:

深部胆管挿入困難例に対するOddi筋切開と,採石困難例に対するオフセットバルーンおよび下膨れ型バスケット

演者 小林 真(市立四日市病院・消化器科)
共同演者 杉浦 寧(杉浦医院), 矢野 元義(市立四日市病院・消化器科)
抄録 【目的】総胆管結石治療におけるトラブルとして乳頭プレカット後の胆管挿入困難や採石困難がある.われわれは深部胆管挿入困難例に対しプレカットをOddi筋が存在する位置まで十分に切開するOddi筋切開を施行した.また採石力を向上させたオフセットバルーンを開発し,総胆管結石がバスケット側方をすり抜けにくいように手前部分を広げた下膨れ型バスケットを作成した.【器具・方法】Oddi筋切開は,ガイドワイヤー操作が可能なプレカットナイフ(RXニードルナイフXL)を用いて膵管にガイドワイヤーを留置しナイフを安定させた上で,膵管開口部から口側へ,Oddi筋部分と口側の十二指腸筋層が露出するまで熱変性の少ない切開波を用いて切開し,Oddi筋断端を探すことで胆管挿入を試みた.また通常の胆石除去用バルーンはシャフトが中心にあり半分しか使えないが,オフセットバルーンはバルーン全体を用いて結石をかき出すことが可能である.下膨れ型バスケットは,乳頭側を大きくして結石のすり抜けを防止し,ワイヤーに垂直に近い角度で当たることで結石がバスケットに入りやすく設計した.【結果】Oddi切開は13例に施行し,全例において(1例は翌日)深部挿入が可能であった.切開後の所見はA:Oddi筋が認識できる,B:Oddi筋は認識できないが内部のPapillary foldが認識される,C:Oddi筋もPapillary foldも認識できない,の3パターンに分けられ,口側の横に走る十二指腸筋層の隆起形状も胆管開口部を探すのに有用であった.膵炎・穿孔・後出血等の偶発症は認めなかった.オフセットバルーンは結石をひっかける力が強く,特にEPLBDと併用することで大きな結石に対しても短時間での治療が可能であった.下膨れ型バスケットは5例に使用し,特に下部胆管における結石の取り込みは良好であった.【結論】胆管挿入困難例に対してOddi筋まで切開を加えることで挿入率が改善し,オフセットバルーンおよび下膨れ型バスケットは総胆管結石の治療に有用であると考えられた.
索引用語 Oddi筋切開, オフセットバルーン