セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胆管結石4

タイトル 内P-709:

DICを合併した胆管炎に対する内視鏡的胆道ドレナージの検討

演者 多賀 誠(埼玉医大病院・消化器・一般外科)
共同演者 菅野 優貴(埼玉医大病院・消化器・一般外科), 小島 和人(埼玉医大病院・消化器・一般外科), 荻野 直己(埼玉医大病院・消化器・一般外科), 深野 敬之(埼玉医大病院・消化器・一般外科), 大原 泰宏(埼玉医大病院・消化器・一般外科), 浅野 博(埼玉医大病院・消化器・一般外科), 篠塚 望(埼玉医大病院・消化器・一般外科)
抄録 [目的] DICを合併した胆管炎に対する内視鏡的胆道ドレナージ術の治療成績について検討すること.[方法]2011年1月より2012年12月まで当科で急性胆管炎にて緊急内視鏡的胆道ドレナージ術を施行した症例は183例であった.そのうちDICを合併していた10例を対象とした.この10症例は膵炎を合併していない急性期DIC診断基準が4点以上で,DICの治療のためにrTMを使用した症例であった.統計学的解析にはpaired T検定を用いてp<0.05以下を有意差ありとした.[成績]男5例,女5例で,平均年齢は79.6±10.8歳であった.急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドラインによる重症急性胆管炎は3例で中等度急性胆管炎は7例であった.来院時に意識障害を伴うseptic shockが1例で,severe sepsisが8例であった.米国麻酔学会ASA分類で3点以上が7例で全体の70%,重症度評価法の1つであるSAPSIIスコアの平均は45.9±11.6点であり,重篤な併存疾患を持つ患者や入院時の状態が重篤である患者の割合が多かった.胆道ドレナージ法は,ENBDが9例でチューブステントが1例であった.10例中7例に胆汁培養検査が行われ,Escherichia coliが5例に検出され最も多かった.3例は胆汁培養で検出された同様の菌が血液培養から検出された.rTMの平均投与期間は5.3±1.8日で速やかにDICの改善が得られた.治療前後での各平均値は(投与前/後),DICスコア5.9/1.4点,APACHEIIスコア13.9/9.0点,SOFAスコア7.6/2.6点,FDP値39.1/17.4μg/mL,CRP値21.2/7.7mg/dL,PLT値5.2/12.5万,PT-INR1.47/1.08で各値はp<0.05以下で治療前後で有意に改善していた.死亡は10例中2例で死亡率は20.0%であった.1例は92歳でARDSを併発した後に積極的な治療を希望されず死亡,もう1例は敗血症性ショックの状態で入院した90歳でDICは速やかに改善したが入院40日後に誤嚥性肺炎で死亡した症例であった. [結論] DICを合併した胆管炎に対して内視鏡的胆道ドレナージとrTMの投与は有効である可能性が示唆された.
索引用語 内視鏡的胆道ドレナージ, DIC