セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

胆管結石4

タイトル 内P-711:

当院における総胆管結石症に対する緊急内視鏡治療の成績

演者 楠本 智章(博愛病院・内科DELIMITER日本鋼管福山病院・内科)
共同演者 大谷 英之(博愛病院・内科), 浜本 哲郎(博愛病院・内科), 堀 立明(博愛病院・内科), 鶴原 一郎(博愛病院・内科), 周防 武昭(博愛病院・内科)
抄録 【目的】総胆管結石に対する治療は,内視鏡的截石術が基本となる.また,胆管炎を伴う総胆管結石は重症化しやすいため,迅速な治療が必要となる.今回,我々は総胆管結石症に対して,当院受診後12時間以内に施行した緊急内視鏡治療の成績について検討した.【対象と方法】対象は,2010年9月~2012年12月までの2年3ヶ月間に総胆管結石症にて内視鏡治療を施行した症例は55例.平均年齢は77.5±13.5歳.男女比は27:28.このうち,緊急内視鏡治療を施行した21例(38%)(A群)と,待機的内視鏡治療を施行した34例(62%)(B群)とを比較し,治療成績等を検討した.【結果】患者の年齢はA群では80.0±9.9歳,B群では75.9±15.3歳であった.性別は,A群では男女比は8:13,B群では19:15であった.内視鏡治療前(以下,術前)の検査項目について検討したところ,術前CRPはA群:B群は,7.62±1.45:3.36±0.67であり,A群で有意に上昇していた(p=0.013).また,術前総ビリルビン値は,A群:B群は,4.01±0.66:2.13±0.41と,総ビリルビン値もA群で有意に上昇していた(p=0.021).術前白血球数はA群にて高値を示す傾向にあった.その他,結石個数,最大結石サイズ,術後合併症,ERC回数,截石回数の検討も行ったが,これらの項目では2群間に差は認められなかった.しかしながら,当科在院日数では,A群では10.1±1.8日であり,B群では15.9±1.9日でありA群で有意に短かった(p=0.033).【結論】各種データよりA群では胆管炎を併発している症例が多く,それらの症例に対して早期に内視鏡治療を施すことにより,在院日数を短縮できるという結果が得られた.両群ともに,最初のERC時に截石したもの,ドレナージのみ施行したものが存在するが,患者の全身状態を考慮し,適切な時期で内視鏡治療を行うことの重要性が示唆された.また,早期の治療介入によってさらなる重症化の予防にも寄与すると考えられた.
索引用語 総胆管結石, 緊急内視鏡