セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

膵臓-治療1

タイトル 内P-716:

膵癌術前放射線化学療法(NCRT)施行症例における内視鏡的ドレナージ術の検討

演者 井上 宏之(三重大大学院・消化器内科学)
共同演者 山田 玲子(三重大大学院・消化器内科学), 野尻 圭一郎(三重大大学院・消化器内科学), 稲垣 悠二(三重大大学院・消化器内科学), 二宮 克仁(三重大大学院・消化器内科学), 田野 俊介(三重大附属病院・光学医療診療部), 濱田 康彦(三重大附属病院・光学医療診療部), 葛原 正樹(三重大附属病院・光学医療診療部), 堀木 紀行(三重大附属病院・光学医療診療部), 竹井 謙之(三重大附属病院・光学医療診療部)
抄録 【背景】当院では局所進行膵癌症例を対象にGemcitabine を使用したNCRT施行しており良好な成績を得ている.NCRT施行症例では診断から外科的治療施行まで約3ヶ月の期間が必要となる.また閉塞性黄疸を来した膵頭部癌症例では治療前にドレナージが必要となるが,NCRT施行症例においてPlastic stent (PS)あるいはSelf expandable Metallic Stent (SEMS)のどちらが有効であるかの報告は少ない.今回我々はNCRT施行症例における膵癌に伴う胆管狭窄に対する内視鏡ステント(ERBD 8.5Fr, 10Fr, SEMS)の閉塞率,合併症,開存期間をretrospectiveに比較検討した.【対象, 方法】当科で2006年4月から2012年12月までに内視鏡的に胆管ステント挿入され,その後にNCRT施行し100日以上経過観察可能であった57例を対象とした(最終的に手術が不可であったPS 8例,SEMS6例を含む).PS 34例(8.5Fr 挿入群;19例,10Fr挿入群;15例), SEMS 23例のステント開存率,ステント閉塞に伴う治療中断率,合併症を比較した.なお10Fr群, SEMS群にはステント挿入時にESTを付加した.【結果】NCRT症例全体でステント閉塞のため14例 24.6% (8.5Fr群31.5%,10Fr群40% , SEMS群8.7% )でNCRT治療中断を要し治療中断率はPS群に有意に高かった(P=0.016).ステント開存期間はSEMS挿入群ではPS群に比較して有意に良好であった(P=0.049).8.5Fr,10Fr挿入群での比較ではステント開存率は差を認めなかった.PS, SEMS挿入群で出血,穿孔等の合併症は認めなかった.後期合併症としてPS,SEMS群で胆嚢炎をそれぞれ1例(2.9%),5例(21.7%)認めSEMS群で有意(P=0.034)に発症率が多かった.【結語】NCRT治療前の胆管ステントではPS群の8.5Fr,10Frいずれの群でも高率に治療中断を余儀なくされた.SEMSによる胆管ドレナージは安全かつ有用であったが胆嚢炎の発症が高率であり今後の検討が必要である.
索引用語 膵癌術前放射線化学療法, 胆管ステント