セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

膵臓-治療2

タイトル 内P-720:

慢性膵炎に対する内視鏡的膵管ステント留置術の治療効果の検討

演者 小澤 栄介(佐世保市立総合病院・消化器科)
共同演者 山尾 拓史(佐世保市立総合病院・消化器科), 中鋪 卓(佐世保市立総合病院・消化器科), 森崎 智仁(佐世保市立総合病院・消化器科), 法村 大輔(佐世保市立総合病院・消化器科), 大仁田 賢(長崎大病院・消化器内科), 中尾 一彦(長崎大病院・消化器内科)
抄録 【目的】主膵管狭窄を伴う慢性膵炎に対し内視鏡的膵管ステント留置術が行われているが,定期的なステント交換にもかかわらず症状再燃を繰り返すことがある.今回我々は当院における内視鏡的膵管ステント留置術の治療効果および症状再燃に寄与する因子を検討した.【対象】対象は2006年8月から2013年3月までに当院で膵管ステント留置術を行った主膵管狭窄を伴う慢性膵炎22例/90回(平均留置回数4.09回/平均治療間隔153.8日)で,男性18例,平均年齢65.5歳,平均観察期間606.6日であった.成因はアルコール性15例,特発性5例,腫瘤形成性膵炎1例,血管塞栓術による血流障害1例で,膵石は19例(86.3%)に認められた.合併症は2回/90回(2.2%)で認められ,膵管ステント迷入1回,膵嚢胞感染1回であった.【結果】22例中19例(86.4%)で症状改善が認められた.外科的治療を必要とした症例は3例(13.6%)で膵液瘻1例,胆管狭窄1例,除去不能尾側膵石による膵管狭窄1例であった.16例(72.7%)でステント留置を継続しており,ステント抜去後1年以上再燃のない症例は3例(13.6%)であった.観察期間における累積再燃率は32.3%であった.症状再燃に寄与する因子を年齢,性別,成因,膵石の有無,仮性嚢胞の有無,尾側主膵管径,初回治療に用いたステント径について比例ハザードモデルを用いて検討したが有意な因子は認められなかった.しかしながら,膵石を伴う19症例の累積再燃率は42.1%であったが膵石を伴わない3症例において再燃は認められず,尾側主膵管径が10mm以上の症例における再燃率は53.2%で10mm以下の症例における18.6%に比べ高い傾向が認められた.【結論】我々の検討では,膵石を伴い蛋白栓によるステント閉塞を来す可能性の高い症例,尾側膵管拡張が強い症例において症状再燃率が高い傾向があることが示唆された.このような症例には早期にステントを交換することで症状再燃なく治療を継続しうる可能性が示唆された.
索引用語 膵管ステント, 慢性膵炎