セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

膵臓-治療2

タイトル 内P-722:

通常型膵管癌手術症例における予後因子としての微量腹水の検討

演者 伊藤 禎浩(千葉大・消化器内科)
共同演者 石原 武(千葉大・消化器内科), 石井 清文(千葉大・消化器内科), 大山 広(千葉大・消化器内科), 西川 貴雄(千葉大・消化器内科), 黒澤 浄(千葉大・消化器内科), 齊藤 将喜(千葉大・消化器内科), 杉山 晴俊(千葉大・消化器内科), 太和田 勝之(千葉大・消化器内科), 三方 林太郎(千葉大・消化器内科), 酒井 裕司(千葉大・消化器内科), 多田 素久(千葉大・消化器内科), 露口 利夫(千葉大・消化器内科), 吉富 秀幸(千葉大・臓器制御外科), 加藤 厚(千葉大・臓器制御外科), 大塚 将之(千葉大・臓器制御外科), 吉留 博之(千葉大・臓器制御外科), 清水 宏明(千葉大・臓器制御外科), 宮崎 勝(千葉大・臓器制御外科), 横須賀 收(千葉大・消化器内科)
抄録 【はじめに】通常型膵管癌において腹水の存在は予後不良因子とされている.一方,超音波内視鏡検査(EUS)はその空間分解能の高さからCTでは同定し得ない微量腹水を描出できると報告されている.今回,通常型膵管癌手術例における微量腹水の予後予測因子としての有用性について検討した.【対象と方法】2007年1月から2010年12月までに当院にて通常型膵管癌と診断し外科的加療へ至った症例で,術前にEUSを施行した58例を対象とした.体外式超音波やCTで腹水を認める症例,経皮経肝胆管ドレナージ施行例や重粒子線治療施行例は除外した.EUSで腹水が描出されない症例を「no ascites群」,EUSで微量腹水が指摘された症例を「minimal ascites群」と定義した.その他,血液検査所見(アルブミン・CEA・CA19-9),病変部位,腫瘍径,病期分類(UICC規約) について各々生存期間についてのログランク検定での単変量解析とCox比例ハザード回帰による多変量解析を行った.【結果】平均年齢は66.1歳(30-88歳)で,男性42例,女性16例.病変部位では頭部42例,体尾部16例,UICC規約ではstage IIA 8例,stage IIB 46例,stage III 1例,stage IV 3例であった.EUS観察におけるno ascites群は50例,minimal ascites群は8例であり,微量腹水の有無と各種臨床病理学的因子との間には有意な相関はみられなかった. 生存分析による単変量解析の結果,minimal ascites群(P<0.0001)で有意に予後不良であった.多変量解析では,minimal ascites群(HR(95%CI)1.462 (1.698-10.970); P=0.0021)が独立した予後規定因子であった.【結論】術前診断で切除可能と判断した通常型膵管癌において,EUSでのみ描出される微量腹水の存在は予後不良因子となり得た.
索引用語 通常型膵管癌, 微量腹水