セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

膵臓-診断1

タイトル 内P-727:

低侵襲な膵癌スクリーニングを目指した十二指腸液採取と蛋白マーカーの解析

演者 井手野 昇(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学)
共同演者 大塚 隆生(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), 浅野 光一(九州大病院・光学医療診療部), 小薗 真吾(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), 田村 公二(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), 安蘓 鉄平(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), 河野 博(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), 永吉 洋介(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), 大内田 研宙(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), 高畑 俊一(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), 水元 一博(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), S. Guha(Department of Gastroenterology and Hepatology, Mayo Clinic Jacksonville), M. Raimondo(University of Texas Health Science Center), 松本 主之(九州大・病態機能内科), 田中 雅夫(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学)
抄録 【目的】我々は内視鏡下に採取した十二指腸液中のCEA蛋白濃度測定が,膵癌スクリーニング法として有用であることを報告した(Pancreas 2013).今回症例を蓄積し,通常型膵癌と膵癌高危険群である膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と慢性膵炎(CP)の検出能を再評価した.【方法】2010年4月から2012年12月までに当院で膵疾患に対して内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)を行った143例と, 共同研究機関でスクリーニングの上部消化管内視鏡を施行した13例(正常膵群)を対象とした.ERCP群では全例で側視鏡を用いて,膵管造影前に十二指腸下行脚で十二指腸液を吸引採取した.正常膵群をコントロール群として,十二指腸膵液中のCEA蛋白濃度をELISA法で測定し,膵疾患群(通常型膵癌,IPMN, CP)の検出感度と特異度を解析した.【成績】膵疾患は通常型膵癌78例,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN) 50例,慢性膵炎10例,その他5例であった.通常型膵癌,IPMN,慢性膵炎の十二指腸液CEA濃度平均値は,それぞれ762±763, 437±575, 1220±1714ng/mlであり,コントロール群(130±213ng/ml)と比較して,各疾患で有意に高値であった(P<0.01).また,ROC曲線より求めたcut-off値(149ng/ml)から算出した膵疾患群(通常型膵癌,IPMN, CP)の検出感度と特異度はそれぞれ67, 92%であり,ROC曲線下面積は0.80であった.十二指腸液採取に関連した有害事象は認めなかった.【結論】十二指腸液中CEA濃度測定は簡便かつ安全で,通常型膵癌とその危険因子であるIPMN,慢性膵炎を含む膵疾患群の検出感度は良好であり,本検査法が低侵襲な膵癌および膵癌高危険群のスクリーニング法として有望であることが示唆された.一方,本邦での正常膵群の症例蓄積とが今後の課題である
索引用語 膵癌, 十二指腸液