共同演者 |
大塚 隆生(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), 浅野 光一(九州大病院・光学医療診療部), 小薗 真吾(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), 田村 公二(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), 安蘓 鉄平(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), 河野 博(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), 永吉 洋介(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), 大内田 研宙(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), 高畑 俊一(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), 水元 一博(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学), S. Guha(Department of Gastroenterology and Hepatology, Mayo Clinic Jacksonville), M. Raimondo(University of Texas Health Science Center), 松本 主之(九州大・病態機能内科), 田中 雅夫(九州大大学院・臨床・腫瘍外科学) |
抄録 |
【目的】我々は内視鏡下に採取した十二指腸液中のCEA蛋白濃度測定が,膵癌スクリーニング法として有用であることを報告した(Pancreas 2013).今回症例を蓄積し,通常型膵癌と膵癌高危険群である膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と慢性膵炎(CP)の検出能を再評価した.【方法】2010年4月から2012年12月までに当院で膵疾患に対して内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)を行った143例と, 共同研究機関でスクリーニングの上部消化管内視鏡を施行した13例(正常膵群)を対象とした.ERCP群では全例で側視鏡を用いて,膵管造影前に十二指腸下行脚で十二指腸液を吸引採取した.正常膵群をコントロール群として,十二指腸膵液中のCEA蛋白濃度をELISA法で測定し,膵疾患群(通常型膵癌,IPMN, CP)の検出感度と特異度を解析した.【成績】膵疾患は通常型膵癌78例,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN) 50例,慢性膵炎10例,その他5例であった.通常型膵癌,IPMN,慢性膵炎の十二指腸液CEA濃度平均値は,それぞれ762±763, 437±575, 1220±1714ng/mlであり,コントロール群(130±213ng/ml)と比較して,各疾患で有意に高値であった(P<0.01).また,ROC曲線より求めたcut-off値(149ng/ml)から算出した膵疾患群(通常型膵癌,IPMN, CP)の検出感度と特異度はそれぞれ67, 92%であり,ROC曲線下面積は0.80であった.十二指腸液採取に関連した有害事象は認めなかった.【結論】十二指腸液中CEA濃度測定は簡便かつ安全で,通常型膵癌とその危険因子であるIPMN,慢性膵炎を含む膵疾患群の検出感度は良好であり,本検査法が低侵襲な膵癌および膵癌高危険群のスクリーニング法として有望であることが示唆された.一方,本邦での正常膵群の症例蓄積とが今後の課題である |